JR北に400億円支援、存続目指す8線区投資など 国交省

2018年07月30日 07時00分

 国土交通省は27日、経営難が続くJR北海道に対し、JR会社法に基づく監督命令を出し、2019年度からの2年間で計約400億円の財政支援を行うと発表した。鉄路存続を目指す8線区の鉄道施設や車両の設備投資・修繕を支援し、青函トンネルの維持管理、貨物列車走行区間に必要な設備投資に対して全額助成する。今後は、19―23年度を8線区の集中改革期間と定め、効果検証しながら持続可能な維持の仕組みを構築する。

 6月に同社が公表した同社グループの「経営再生の見通し案」では、道新幹線札幌開業後の31年度を経営自立時期とし、同年度までに必要となる、輸送密度200人以上2000人未満の8線区などの支援を求めていた。

 国は、札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益最大化や快速エアポート増強などの経営努力を求める。事業範囲の見直しについては19―20年度を「第1期集中改革期間」と定め、地域とともに利用促進やコスト削減、実証実験、意見聴取を通じて2次交通も含めた交通体系の検証を求める。この間、国交省は関係自治体への必要な支援を行う。21―23年度の「第2期集中改革期間」では、第1期の検証結果を取り組みに反映させる。

 集中改革期間中は、同社と地域関係者が毎年度ごとに取り組みを検証。最終年度には目標利用者数の達成度合いなど含めて総括的に検証し、事業の抜本的な改善を図る。

 年度内に同社に対して、第1期集中改革期間の事業計画、19―23年度までの中期経営計画、19―30年度までの長期経営ビジョンの策定を求める。各種計画、ビジョンでの取り組みは、四半期ごとに鉄道局とともに検証し、情報開示を求める。数値目標の達成状況の検証・改善のため部門別の収支管理体制を整える。

 総額400億円の国の支援は、鉄道運輸機構を通じて行われる。8線区の支援は、地方自治体からの同水準の支援を前提とし、厳しい財政状況を踏まえて必要な地方財政措置を要求する。経営基盤の強化に資する前向きな設備投資についても、2分の1ずつ助成と無利子貸し付けを措置する。

 国鉄清算事業団債務等処理法の期限が21年度までとなることから、同年度時点で取り組みの進展を確認。健全な経営確保のための枠組みを構築し、経営自立に向けた国の支援を継続する法案の国会提出を検討する。

 経済支援のほか、JR東日本から新幹線ネットワークを活用した連携や人的支援、技術支援、観光分野での強力を求める。物流面も考慮して新幹線の高速化実現に必要な方策も検討する。

 島田修社長は「経営再生に向けて大まかな方向性を示していただいたことを重く受け止める」として「経営自立に向けた12年間の取り組みを地域と一体となって進める」とし、設備更新に向けて本年度内に長期収支計画を策定する。

国交省の考え方公表を受けて記者会見した(右から菊谷会長、高橋知事、棚野会長)

 高橋はるみ知事らは27日、道庁本庁舎で記者会見した。高橋知事は「地域が求めてきた国の実効ある支援についての考え方が一定程度反映されている」と評価する一方、支援策の課題を指摘。第1期における地域負担の法的根拠が明確でなく、国と同水準の自治体からの支援を想定する点を批判し、地方財政措置を講じるよう求めると強調した。

 棚野孝夫北海道町村会長も自治体負担について「国から監督命令が出たことは、JR北海道の経営に国の責任があると認めたもの。自治体が国と同水準で支援を行うのは無理で、国が中心的な役割を果たすべき」と負担軽減に理解を求めた。菊谷秀吉北海道市長会長は「自治体の大小を問わず財政状況は厳しい。地財措置について議論を尽くしたい」とした。


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