北海道開発局は7日、弟子屈町内にある川湯ふるさと館で道の駅「摩周温泉」を拠点としたストレスフリーな観光地域づくり地域協議会の1回目会合を開いた。レンタカーを主体としたインバウンドの周遊と滞在促進を目的に道の駅で観光情報の一元的な発信を図る試行で、会合では道の駅の認知度向上などを呼び掛ける意見があった。
協議会は弟子屈町や標茶町など釧路・オホーツク管内の14市町村や各観光団体、北海道運輸局などで構成。会長には開発局開発管理部開発連携推進課の宮崎貴雄開発企画官が就いた。弟子屈町や周辺地域を対象にインバウンドのドライブ客の道の駅「摩周温泉」の立ち寄りを促進しつつ、周辺の観光情報を発信することで地方部における滞在の増加を図り、その効果を検証する。
開発局は協議会の設置に先立ち、2017年度にスマートフォン用アプリケーションを活用し、インバウンドの移動経路や立ち寄りスポットなどを分析する社会実験を実施した。
実験の結果、ドライブ観光の促進は地域偏在の緩和に有効で、適切な観光情報の発信によって地方へのさらなる誘導や観光地や施設への立ち寄りを促す可能性があるとした。一方で、阿寒摩周地域ではGPSの測位情報で阿寒湖温泉付近や屈斜路湖周辺での滞在者はいるものの、その他の施設周辺は通過するのみで滞在の余地が残っていると分析した。
この社会実験を受けて同協議会では、ドライブ旅行をするインバウンドの各地域での周遊促進と道の駅への立ち寄り促進を図る試行に取り掛かる。会合後から年明けごろをめどに、道の駅「摩周温泉」の認知度向上と長距離移動のストレス軽減、広域連携による一元的な情報発信機能強化を方向性として取り組む。
同道の駅への誘導は、スマートフォン用アプリケーション「Drive Hokkaido!」やSNS、新千歳空港やインバウンドの立ち寄りが多い施設でチラシを配布するなど認知度を高める。
一元的な情報の発信は、各地域の情報を一定の様式で収集し、同道の駅に掲示しインバウンドの関心に合わせてインフォメーションコーナーでコミュニケーションを取る。また、集約した情報を地域で共有化し情報発信の機能を強化するほか、集約した情報をSNSなどで発信する。
会合では、「予想以上に滞在している人が少ないことが分かった。レンタカーは移動手段でドライブを楽しんでいない傾向がある。情報をきちんと出して寄り道させることが必要だ」といった意見が挙がったほか、「道の駅という文化の認知度を向上させなければならない」とインバウンドに道の駅自体に興味を持ってもらう必要性があることを訴える声もあった。