北海道150年を支える~地域発展のストーリー ③川のまち・旭川

2018年08月22日 10時06分

橋梁整備でアクセス向上

■一体的な市街地形成 北彩都3橋が神楽地区に経済効果

 石狩川、美瑛川、忠別川、牛朱別川といった大きな河川が流れる旭川市は、橋梁整備の進展に合わせて発展してきた。分断していた地域同士が結び付き、一体的な市街地が形成されるなど橋は旭川市のまちづくりには欠かせない存在だ。

 特に大きな事業効果を発揮したのが、北彩都あさひかわ整備事業の一環で架設した旭川中心部と神楽地区を結ぶ3本の橋梁だ。両地区はJR線路と忠別川で分断され、国道237号の忠別橋しかない状況だった。市中心部から見た神楽地区は、近くて遠い存在といわれてきた。

 新しくできたのは、上流側から新神楽橋(供用開始2003年度)、氷点橋・北彩都橋(11年度)、クリスタル橋(13年度)。氷点橋・北彩都橋終点の神楽1条9丁目から旭川駅前まで、忠別橋経由だと2・4㌔だが、氷点橋・北彩都橋を利用すると0・9㌔と短くなり、徒歩だと36分から14分へと大幅な短縮となった。

北彩都事業の一環で誕生したクリスタル橋。橋脚2基を桁と剛結したラーメン形式を市の長大橋として初めて採用した

 新たな橋の開通でアクセスが向上した神楽地区は、氷点橋・北彩都橋開通直後から地価が上昇。国土交通省の地価公示価格によると、住宅地の神楽2条7丁目420の21は12年から4年連続、商業地の神楽5条8丁目400の1は13年から3年連続で上昇し、大きな経済効果をもたらした。

 また、中央部にアーチを描く新神楽橋、色彩や形状など周辺環境に配慮した氷点橋・北彩都橋、クリスタル橋は事業効果の高さと外見的な美しさが評価され、全国街路事業促進協議会主催の全国街路事業コンクールで特別賞を受賞。今や川の街・旭川を代表する橋として注目される存在だ。

 現在、旭川市内では美瑛川に架かる平成大橋の4車線化が進められており、牛朱別川で分断されている豊岡・東光地区と永山地区を結ぶ新たな橋梁も計画されている。

 両地区を結ぶこの河川橋は、市施工の街路事業3・3・20永山東光線として整備する。延長は約150mで、道路区間約550mも含めた総事業費は概算で50億円。事業化は最短で23年度となる見通しだ。

 両地区を結ぶ道道旭川環状線豊永橋、国道39号境橋の渋滞緩和が期待され、川の街・旭川に欠かせない橋梁がまた一つ誕生しようとしている。

昭和初期から姿保つ旭橋

■現代に通用する設計 戦車が通れる強度、景観配慮も

 「川のまち」旭川のシンボルとして、長きにわたり市民の交通と生活を支えてきた旭橋。夏冬の寒暖差が激しい気候の中にあって、完成から86年を経て今なお完成当時の姿を保っている。

 旭川市の中心部と陸上自衛隊旭川駐屯地がある春光町や花咲スポーツ公園がある花咲町を結んでいる旭橋は、石狩川に架かる橋長224・8m、全幅18・3mの4径間ブレーストリブ・キャンチレバー・タイドアーチ橋だ。当時の北海道庁が整備し、1932(昭和7)年に完成した。

 建設費は134万円で、現在の貨幣価値に置き換えると36億円に上るビッグプロジェクト。既に同じ場所には初代旭橋が架かっていたが、当時の旭川には旧日本陸軍第7師団が駐屯していたこともあり、軍事上の理由からも強靱(きょうじん)な橋が必要となっていた。

 設計は29年1月から7月にかけ吉町太郎一北大工学部長の設計指導の下で進められた。現在、橋を所管する旭川開建によると、現代でも通用する高度な橋梁力学理論を駆使して設計されているという。コンピューターがなかった当時、膨大な量の計算をそろばんや筆算でこなしたと推察され「半年間で設計を完了させたことは驚くばかり」と話す。

 橋の本体は頑丈かつ軽量な床版をはじめ、強度に優れるドイツ製の鋼材を使ったタイ(橋を水平に保つ部材)、旭川の厳しい気候に対応する伸縮吸収の仕組みなど、数多くの先進技術が用いられている。こうした構造が「戦車も通れる」ともいわれるゆえんだ。

緩やかなアーチを描く旭橋は建設当時と変わらない姿で旭川のまちを見守り続ける

 橋脚の表層には新得町産の花崗岩(かこうがん)を張り付けたのも特徴。「旭川のシンボルに」と石狩川や大雪山に代表される、自然豊かな旭川の景観になじむよう配慮する設計思想をうかがわせる。

 特徴的なアーチの色は社会情勢などに応じて8度、塗り替えてきた。直近の2009年の塗り替えでは完成当時の色(フェイサイドグリーン)を再現した緑系のモウリューを採用。塗装はさびによる腐食を予防する重要な役割も担っている。

 02年には土木学会の選奨土木遺産、04年には北海道遺産に認定された旭橋。昭和初期の優れた設計と施工技術を今に伝えている。

(旭川支社 相良知宏、鳴海太輔記者)


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