おとなの養生訓

おとなの養生訓 第142回「オリーブ」 動脈硬化や認知症予防

2018年08月24日 08時00分

 「イタ飯」、つまりイタリア料理のブームがありました。今では、フランス料理、中国料理と並んで、外国料理の大看板になっています。とくにパスタを使った料理の人気は衰えることがありません。もともと、日本の子供たちはスパゲッティ、マカロニで育ってきたのですから、いわばソウルフードなわけです。

 そのパスタ料理に欠かせないのがオリーブオイルです。まあ、パスタに限らず、イタリア料理のレシピには大抵オリーブオイルが使われているので、和食で言えば味噌やしょう油ぐらい当たり前の食材です。

 ところが、オリーブオイルを取り出すオリーブの実は、まだまだ認知度が低いのです。「ピザに乗っている黒っぽい実」ぐらいの認知度が一般的なのでしょうか。いやいや、オリーブの実はこれでなかなかいけるのです。

 オリーブの実は塩漬けの形で供されます。でも、たっぷりと含まれているオリーブオイルのおかげで、しょっぱくなく、まろやかな口当たりを楽しめます。ワインのお供に薦める人も多いのですが、私は断然蒸留酒に合わせるのが正解と思っています。

 ウイスキー、バーボン、ラム酒など、アルコールの強い刺激をうまく和らげてくれます。イタリア産のブランデーであるグラッパとも当然のごとく合います。カクテルで言えば、何といってもマティーニに浮かべるのが最高です。かつて先輩から「マティーニはオリーブを楽しむためのカクテルだ」と習ったものです。

 日本には梅の実がありますが、梅の実の塩漬けは、なんとなくオリーブに通じるものがあります。焼酎に梅干しを入れる「梅サワー」は定番ですが、似ているからなのか、焼酎にオリーブは悪くないと思います。オリーブの実を入れると油が出て若干味わいが損なわれますが、オリーブの実をかじりながら、焼酎を飲むのはいいものです。

 オリーブの実は、栄養学的な効用も指摘されています。多量に含まれているオレイン酸という油は、いわゆる不飽和脂肪酸であり、動脈硬化を防ぎ、認知症予防の効果も期待されています。だいたい、オレイン酸の語源はオリーブからとれたことなのですから。オリーブをたくさん使う地中海地方は心臓血管系の病気が少ないことも分かっています。

 今夜は、オリーブの実をかじりながら、イタリアで人気のグレングラントというシングルモルトでいこうと思います。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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