旭川の市道除排雪を担う企業で構成する旭川除排雪業者ネットワーク協議会(43社)は8月30日、西川将人市長に採算性や担い手の確保などを求める要望書を手渡した。官貸車両の増車、夏維持業務の事業量確保、住宅前道路除雪事業の見直しなども盛り込んだもので、業界を取り巻く環境が厳しさを増していることから、10年ぶりに市への要望活動を実施。西川市長は「切実な思いであると受け止めている。どのような方法が良いのか検討していきたい」と応じた。
同協議会と市土木事業所は、除排雪業務に関する課題などを定期的に話し合っているが、近年は採算性の悪化、オペレーターの不足、高額となる除雪車両の入れ替えなど、厳しい経営環境に置かれていた。
当日は石田一彦会長ら協議会役員が市役所を訪れ、西川市長、新野康二土木部長らが応対。石田会長は「過去にないほどの危機感。このままだと早くて2年、あと4―5年で最大の危機を迎える」と述べ、西川市長に要望書を手渡した。
要望内容は①採算性・担い手の確保②除雪機械について③夏維持業務について④住宅前道路除雪について―の4項目。
直近で最大の課題である①は、健全な企業経営のため、オペレーターの人件費や車両の維持管理費といった固定費を積算上で見直すことを要請。担い手確保に向け、他都市や他産業の事例を調査しながら支援策を検討するよう求めた。
②では、企業の経営体力が低下する中、自社の除雪車両を維持していくことがますます難しくなることから、官貸車両の増車と入れ替え時における地元業者への売り払い、リース除雪車の積算単価見直しなどを盛り込んだ。
③は、除雪業者の半数以上が夏維持業務を受注している現状を踏まえたもの。夏維持の業務量が少ないため、採算性の悪化などを理由に除雪業務からの撤退を考える企業が存在しているとし、業務量の確保、夏維持業務の入札で除雪業者を優先する制度の導入などを要請した。
④は、高齢者など自力で除雪が困難な世帯を対象に、間口処理を施す住宅前道路除雪事業を見直すという内容。
世帯対象は2009年度に1854件だったが、17年度は3899件と倍増。除雪作業時間の超過、除雪漏れによる市民からの苦情が多く寄せられているが、このままでは通常の除雪に影響し、市民生活に支障を来すことから、現在、道路除雪に組み込んで実施している間口処理を道路除雪と切り離し、高齢者福祉の観点から事業を見直すよう要望した。