いわね大橋損傷で提言 日常点検の重要性説く

2018年09月03日 07時00分

 7月上旬に道内を襲った大雨災害からもうすぐ2カ月が経過する。JR遠軽駅前の町中心街に延びる道道遠軽芭露線のいわね大橋(橋長337m、1980年架設)は、湧別川の洪水で橋脚が沈下したため上部がV字に折れ曲がり、車両の通行は規制されたままだ。住民が不便な生活を強いられる中、北見工大の渡辺康玄副学長ら研究陣が現地入りし、損傷のメカニズム解明を進めると同時に、再度災害を防ぐ日常点検の重要性を提言している。(網走支局・堀内 翼記者)

■7月大雨被災で北見工大研究陣が調査

 いわね大橋は、駅や病院、スーパーなどが位置する中心街にアクセスする重要な橋梁。現在、町民は迂回路を利用しなければならず、早期復旧が望まれている。

 大雨後に水位が下がった8月5日に北見工大の複合型豪雨災害研究ユニットのメンバーである渡辺副学長(河川専門)、宮森保紀工学部准教授(橋梁専門)、川尻峻三工学部助教(地盤専門)が学生と共にドローンで上空から撮影し調査した。

左から渡辺副学長、宮森准教授、川尻助教

 同研究ユニットは、2016年8月の台風災害を契機に設立。河川工学、橋梁工学、地盤工学の専門家が境界を越え、災害の原因究明や対策方法を検証し、地域や行政に情報を発信している。

 調査では、増水時に把握できなかった砂州の位置を確認した。渡辺副学長は「砂州の場所が変化したことで川の流れが変わり、橋脚に対して広い面積で衝撃が加わったと考えられる。川の水はある対象にぶつかり行き場がなくなると下にいく。それによって洗掘が進むことがある」と話す。国の測量結果やドローンの撮影データを基に詳細な調査に取り組む考えだ。

 16年の災害を乗り越えた同橋が、なぜ今回の大雨で破損したのか。川尻助教は「砂州の位置は橋脚に対する外力を評価する重要な要素。洪水によって川の流れが変わる。16年の台風では流量は多くても砂州の影響が少なく、7月の場合は流量が少なくても砂州の位置が橋にとって危機的だったのかもしれない」と指摘する。渡辺副学長は「16年の大雨からの2年間で、なぜぎりぎりの状態を発見できなかったのか検証も必要」と説く。

早期復旧に向け、支保工設置を渡辺組が進める

 今回の破損を踏まえ、橋梁の点検方法の見直しも検討する必要がある。川尻助教は「例えば、鉄道橋の場合は洗掘量が分かるよう目印を付けたり、河床までの深さを棒で確認している。ただ、これを全ての橋梁で行うのは現実的ではない」とした上で、絶対守らなければならない橋梁を把握し、重点的に点検する必要があると強調する。「いわね大橋の場合は、上下水道管が通り、地域にとって重要。広域避難、まちづくりの視点から守らないといけない橋を把握し点検していく枠組みが必要」と話す。

 道は落橋を防ぐための支保工、橋脚の撤去、桁の取り外しまでの応急工事を渡辺組(遠軽)が進める。その後の本復旧では、橋脚の設置や桁の調査をした上で、調査結果を踏まえ損傷部の造り直しか補修のいずれかを選択する。

 宮森准教授は「落橋防止装置が切れ、支承に損傷はあったが、補修は可能なレベルだと思う。桁の損傷は少ない印象だ。力学的には造り替える必要はなく、再利用が可能なのでは」と提唱。「ただ、桁の調査時に桁とともにコンクリート床版も撤去しないといけないので、これからの管理を見据え桁も造り直す選択肢もある」と見解を示した。


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