函館市は、空き家対策の重点対象地区に指定している西部、中央部2地区で、所有者の意向に関する調査報告書をまとめた。解体希望が約6割に上り、売却や賃貸を望む声もある一方、解体費用や需要がないことで活用が進まない現状が見えた。市は相談窓口の充実や他団体との連携強化などを図り、利活用を促す。
調査対象物件数は927件(うち特定空き家277件)。2017年6月に調査票を送付し、331件(回答率36.6%)から回答を得た。
それによると、所有者は60、70代が56.7%を占め、築後32年以上経過している物件は89.1%に上った。管理で困っていることは「ない」が34.5%と最も多く、次いで「現住所から空き家が遠い」が32.5%だった。
今後の活用策について、複数選択可で尋ねたところ「解体したい」が58%、「売却したい」が33.3%、「賃貸したい」が21.9%など。建物・土地の所有者が異なる場合では売却は少なく、解体や賃貸を望む傾向があった。
一方で「解体費用がない」が33.8%、「解体すると固定資産税が上がる」が27.3%と金銭的な理由で活用が進まない現状が浮き彫りに。賃貸や売却をしたいが相手が見つからないなど、うまく流通していないケースも多かった。
市は解体費補助制度を設けているが、上限30万円では自己負担が大きいのが実情。それでも事前の対応検討の必要性を指摘し、賃貸・売却に関しては狭小・未接道敷地といった問題があるが、専門家の適切なアドバイスで解決する場合もあると考えている。
空き家に対する適正管理意識の希薄化や情報不足があることから、市は相談窓口の充実、相談会や出前講座などで意識啓発を図る。8月に協定を締結した函館司法書士会を例として法務や不動産分野などとの連携をより強化する。