美しいアーチ今も 土木遺産・旭川市春光台配水場が公開

2018年09月06日 06時00分

 旭川市水道局は4日、土木遺産に選定されている春光台配水場の覆蓋(ふくがい)付き緩速ろ過池を報道向けに公開した。点検と清掃のため、3年に1度水を抜くタイミングに合わせて実施したもの。完成から1世紀以上経過しているが、大きな損傷もなく、れんがによる美しい連続アーチ構造が巨大空間に広がり、建設当時の様子を今に伝えている。

当初は軍用水道として整備されたろ過池の内部。2013年度に覆土を剥がし、覆蓋を遮水シートで覆う改修を施している

 春光台公園に隣接する近文5線5号に建設された覆蓋付き緩速ろ過池は1910(明治43)年に着工し、13(大正2)年3月に完成。ろ過池を含む一連の施設は、旧陸軍第7師団内でチフスが発生し、衛生的な飲料水確保が急務となったことから、軍用水道として整備した。

 現在の石狩川浄水場付近にあった沈砂溝にくみ上げられた水は、春光5条8丁目付近に存在したポンプ室へ自然流下した後、第1配水池へ押し上げられ、この緩速ろ過配水池と隣接する第2配水池を経て、第7師団へ供給された。総工費は45万円で、現在の価値にすると約90億円に上る大事業だった。

 第2次世界大戦後、GHQが接収。48(昭和23)年に市へ無償譲渡された。ろ過池は68(昭和43)年に春光台配水場へと改造され、現在に至る。

 緩速ろ過池は建造当時、日本最北の水道施設であったことから、冬場に凍結しないようれんが積みアーチによる覆蓋を設け、その上に厚さ60cmの覆土を施した。躯体は無筋コンクリートのため、鋼材の腐食による劣化も見られないという。

 ろ過池本体は長さ28・2m、幅58・5m、高さ4・8mの大きさで、容量は7500m³。3区画に分かれ、れんが造りの壁と72本の柱が覆蓋を支えている。

 当時、陸軍が有する最高峰の技術が導入された覆蓋付き緩速ろ過池は、水道の技術史上大変貴重なもので、建造後100年目を迎えた2013年、土木遺産に選ばれた。

 水道局は「100年前に完成した貴重な水道施設が今も稼働し、市民の生活を支えていることを知ってもらえたら」と話している。


関連キーワード: 土木

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 古垣建設
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (3,079)
BP新駅で大規模開発 高層MS、商業施設、ホテルな...
2022年06月29日 (2,662)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (2,218)
おとなの養生訓 第126回「なぜ吐くのか」 空腹時...
2017年12月22日 (1,750)
おとなの養生訓 第44回「肥満と発汗」 皮下脂肪が...
2014年04月25日 (1,417)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 激化する若者獲得競争
地方企業が取るべき
戦略は-new

激化する若者獲得競争 地方企業が取るべき戦略は-
若者獲得に向けた工夫とは。釧路市内の団体が開いたセミナーから、各回の講演概要を紹介する。

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第234回「アセトアルデヒド」。二日酔いの原因物質で、顔の赤みや動悸、胃腸への刺激を引き起こします。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第21回「住宅の内装/色と素材感」。質感や柄から受ける印象も大切にしてコーディネートを進めたいものです。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第20回「能力向上へ適切な指導」正しいゴールの設定やフィードバック、成功体験が大切です。