台風21号が通過した影響で、札幌市内は4日夜から5日午前にかけて強風や強い雨に見舞われた。市内では住戸被害や停電などが発生。特に街路樹などの倒木が500件近く起きて道路をふさぎ、各所で通行止めが相次いだ。各区災害防止協力会など、地場建設業者らが早朝から復旧作業に取り組んだ。5日午後5時現在、市所管分では4路線で通行止めが続き、解除の見通しは立っていない。
市内は4日午後6時半ごろに暴風警報、その後5日午前0時から3時にかけて大雨警報(浸水害、土砂災害)、洪水警報が発令され、5日午前中に全て解除。最大瞬間風速は33・4mを観測した。
札幌市危機管理対策室によると、午後5時現在の被害状況は人的被害が1件発生。南郷通を走行中の車に倒木が当たってけがをした。物的被害は屋根の吹き飛びや窓の損壊など住戸が39件、物置ほか非住戸が11件に上る。
各区土木センターの対応を見ると、最も多いのが倒木で484件。このほか道路冠水6件、法面崩壊1件、街路灯転倒などその他が96件など。
同室の松坂彰計画・原子力災害対策担当課長は「風台風としては04年の台風18号ぶり。大きな被害はなかったが倒木や屋根の飛ばされが多かった」と分析。「近年頻発する大雨とは違い、事前にできる備えが限られて難しい面もあった」と話した。
建設局によると、午後5時現在で倒木や電柱転倒によって豊平区の西岡中央線、白石区の本通南郷通14丁目線など3路線が通行止め。公園は市内主要19カ所のうち、17カ所で全面または一部を閉鎖している。
市内の建築現場では足場が風にあおられ一部で崩れたほか、複数の市営住宅で仕切り壁が破損。サッポロさとらんどでは倒木などにより、安全が確保できるまで休園すると発表した。停電は午後5時現在で厚別、北、清田、豊平、東、南の計6区、約6000戸で続いている。
倒木や電柱が倒れた影響で通行止めが相次いだ道路では、5日未明から地場建設業者や電気設備業者が復旧作業に当たった。
北区では石山通と都心を結ぶ北8条通の北7条西8丁目付近で、街路樹が電柱3本を巻き込み道路側へ転倒。電線の切断で信号を含め周囲は停電し、通行に支障が出た。
5日午前3時30分に通行止めを開始。維持担当の鹿島道路や横浜植木、北区災防協の勉建設、平安警備保障ほか2社が道路、北海電気工事が電柱復旧を進め、午前10時40分ごろに解除した。
作業を終えた勉建設の佐々木学社長は「訓練により伝達がうまくいき円滑に作業に入れた。前回の風台風の教訓も生きた」と振り返った。
手稲区では、前田森林公園北西線で倒木が道路に被さり通行止め。早朝から手稲区災防協の大東が、チェーンソーや建設機械を使って、2時間ほどで支障物を取り除いた。吹田幸隆大東社長は「未明から2班体制で備えていた。安全に注意を払いつつ、迅速な作業を進めたい」と話した。
各社作業員を待機し備えを進めていたが、資機材が十分にそろわない場面も。現場関係者からは「必要資機材をレンタルしようとしたが始業時間待ちになるものもあった」との指摘もあり、関連業種含めた対応力向上が問われそうだ。