6日未明に北海道を襲った胆振東部地震。岩見沢農高2年の金谷柊迆くんは震度7を観測した厚真町出身で、現在、岩見沢市内の寮に暮らしながら農業土木工学科で学んでいる。金谷くんにとってもこの地震は大きな転機となり、将来について見つめ直すきっかけにもなった。
金谷くんの実家は、厚真町の中でも被害の大きかった地区からは離れた場所にあり、実家に暮らす両親、祖父母、曽祖母は無事だった。家にも被害はなかったが納屋が2棟崩壊したという。
地震当日は岩見沢にいた金谷くん。すぐに実家と連絡を取り家族の無事を確認したものの、「地元が大きな地震の被害に遭ったのに、寮にいる自分が情けない」と、地震発生直後の週末には実家に帰省した。
見慣れた厚真の道路はひび割れが多数発生し、トラックなどでないと通れないというようなありさま。道行く車両は自衛隊の車両などが多く普段は見ないような光景を目の当たりにした。「自分は震度7を経験したわけではないが、自分の地元のまちなのに、違うまちにいるような気がした。親の話も聞いていて、泣きたくなった」と話す。
断水が続く中、帰省中は2度ほど給水所を訪れたが、そこで意外なものが役立った。地震発生前日の5日に、金谷くんをはじめ、岩見沢農高農業土木工学科の生徒は赤平市で開かれた植村建設(本社・赤平)主催の市民防災大体験会に参加していた。そこで景品として当たった防災グッズに給水袋が入っており、さっそく厚真に持参。日頃の備えが思わぬ形で役立った。
実家が農家の金谷くんは、将来的には地元に帰って農業に関わる仕事に従事したいと考えているが、今回の地震で少し考えが変わってきた。「災害が起きたら建設業の人が被災地に入ると聞いている。建設業として現場に入るのもいいかな」。ただ、まだ2年生の金谷くん。具体的な将来設計にはまだ時間がかかるが、まずは「亡くなった人もいるけど、また明るいまち、笑顔になれるまち、より良いまちになれば、それが喜びになる。いち早い復興を」と願っている。