2018年7月1日時点の地価調査で、道東地域は全体として平均変動率が下落傾向にある。一方、上昇地点は帯広市を中心に15点と前回調査の8点から大幅に増加している。
十勝管内
管内94地点の平均変動率はマイナス1%と25年連続で下落したが、帯広市は16地点のうち11地点で上昇、5地点で横ばいとなった。
住宅地は帯広市と音更町で上昇。郡部では底値が近づき下落率が縮小傾向だが、変動率は0.3ポイント減のマイナス0.6%となった。商業地は帯広市郊外店への顧客流出や地域商店街の衰退でマイナス2.6%。工業地は3.6%で2年連続で上昇した。
下落率が最も大きいのは住宅地が豊頃町中央新町142のマイナス3.6%、商業地が上士幌町上士幌東3線237の24のマイナス4.8%となった。
釧路管内
管内全体は26年連続で下落し、全52地点の平均変動率はマイナス0.3%。用途別に見ると住宅地がマイナス0.3%、商業地がマイナス0.5%と、いずれも前年の数値に比べてわずかながら下落幅が広がっている。
住宅地は23年連続で下落したものの、安定した傾向が継続。釧路市内では、上昇傾向にあった地点が横ばいに転じた影響でマイナスとなった。庶路学園新設関連で道路などのインフラ整備が進んだ白糠町西庶路東1条北4丁目1の22は、管内全用途で唯一上昇した。
商業地は、11年以来続いてきた変動率の下落幅縮小から拡大に転じた。ただ、釧路駅前地区で大型投資が進む釧路市内は変動率がプラスマイナスゼロとなった。
住宅地、商業地とも管内で下落幅が最も大きいのは浜中町霧多布だったが、この背景について北海道地価調査第10分科会の成田一樹代表幹事(創成東鑑定合同会社)は「地形的に行き止まりで背後商圏が限られる上、若い世代を中心に山側の茶内などに土地を求める傾向が続いている」と説明している。
根室管内
根室管内は23地点を調査。平均変動率は住宅地がマイナス0.2%で17年連続、商業地がマイナス0.7%で、24年連続でそれぞれ下落。全用途の平均はマイナス0.3%で横ばいとなった。
標津町では川北63の47がゼロから1.7%とプラスに転じた。川北地区では市街地規模の割に土地取引が多く上昇傾向が見られる。上昇変動率の上位は川北63の47に加え、別海町の別海川上町138の12が1.7%、別海旭町362が1.5%だった。
オホーツク管内
オホーツク管内は93地点で調査。平均変動率は、住宅地がマイナス1.8%で25年連続、商業地がマイナス2.9%で33年連続の下落となった。上昇地点はなく、横ばいは1地点増の16地点だった。
北見市では住宅地でマイナス1%からマイナス0.9%に、商業地でマイナス1.6%からマイナス1.5%に下落幅を縮小させているが、住宅地で17年、商業地で26年連続の下落となった。
網走市では、郊外店舗へ消費が流出。紋別市ではスーパーなどが集中する落石町2丁目が集客力を高める一方、幸町・本町では既存商業施設の閉店が続く。
全用途平均は25年連続の下落。下落幅が最も大きいのは、住宅地で紋別市渚滑町4丁目59の1でマイナス5.7%、商業地で雄武町雄武731がマイナス5.2%だった。
2018年9月19日付の北海道建設新聞紙面では、道東地域のほか、道北、道央・道南地域の地価調査結果や、全道の地価を総括した記事などを掲載しています。