北海道電力は20日、北海道胆振東部地震で緊急停止した苫東厚真火力発電所の内部を報道陣に公開した。復旧した1号機では修繕したボイラの蒸気によりタービンが高速回転し、順調に発電していた。一方、タービン内が出火した4号機は熱風により施設カバーが変色するなど被災の深刻さがうかがえる。本店や他発電所からの応援技術者を増やし、2、4号機の再稼働に向けて24時間体制で作業に当たっている。(関連記事2面に)
1号機本館内は、人の声が聞こえないほどタービンが回るごう音が施設内に響いていた。蒸気により毎分3000回転して発電する。地面の一部からは余熱が伝わるほど、蒸気が高温高圧であることを感じた。隣りには被害を受けた巨大なボイラがある。損傷したボイラ管の一部を担当者に見せてもらうと、高温の蒸気が漏れ出したことで真っ黒になっていた。
1号機のタービンがあるフロアには、2号機のタービンも遠くから見える。復旧作業中のため近づけないが、技術者がひっきりなしにメーターを確認するなど作業に追われていた。
■2、4号機再稼働へ24時間体制
バスを乗り継いで向かった4号機本館。このタービンも2号機同様に停止中。操作盤がある箱形のカバー上部が、黒茶色に変色しているのが見て取れた。火力企画グループの菅原岳宏担当課長によると、タービンに使う潤滑油が地震により内部で漏れ、高温部分のどこかに接触したことで出火したと説明。変色部分は高温の煙が隙間から漏れてできたものだという。
それでも、内部の機器に大きな損傷がなかったことから、毎分1、2回の低速で動かし主軸に問題がないか確認している。結果を見て、分解して修理をするか、そのまま稼働するのかの方向性を見極めていくそうだ。
2、4号機は地震によりタービン主軸のバランスが崩れないよう、自動的に安全装置が作動し緊急停止している。
発電には工業用水を使っているが、生活用水はいまだ断水の状態で、施設の周りには仮設トイレが並んでいた。厳しい環境化での復旧作業となっているが、菅原担当課長は、「一日でも早い復旧を目指し作業を進めている」と力強く語った。