本州・北海道架橋を考える会(代表幹事・福西秀和工藤組社長)は21日、ホテル函館ロイヤルで津軽海峡からのメッセージと題する講演会を開いた。約150人が参加。日本データーサービスの川合紀章副社長が津軽海峡を「物流の要衝」と捉え、北極海航路の可能性のほか、農産品輸送では産地保管を推進し、物流の平準化を図る必要性などを訴えた。
川合副社長は、貨物量が急増する北極海航路の可能性や、北米アジア航路のコンテナ船のほとんどが津軽海峡を素通りしている現状を報告。「北極海沿岸の開発支援や観光クルーズ船拠点などアジアで最も東にあるメリットを生かした戦略的な行動が必要」と訴えた。
国内物流に関しては、ドライバー不足や機体小型化に伴う地方空港の貨物量減少などで「北海道からの農水産品の物流に危機が生じている」と指摘。新たなトンネル構想に理解を示しつつ、「秋に集中する物流の平準化で解決できる」と述べた。
その際、苫小牧で建設中の大型冷蔵倉庫を例に自然冷熱エネルギーを活用した産地保管をポイントの一つに挙げ、現在検討されている流通型食料備蓄システムのメリットを伝えた。
このほか、長大の深谷茂広構造事業本部副技師長が講演。同社が施工監理し2016年に開通した、ヨーロッパとアジアをつなぐトルコの第3ボスポラス橋(2164m)について、つり橋と斜張橋を融合したハイブリッド橋といった構造や、設計基準などの現地体験談を交えて報告した。