ズームアップ 経済評論家 勝間和代氏

2018年09月29日 07時00分

 ことし11月、釧路市内に各界の著名人が集まりシンポジウムや各種講座を展開するイベント「エンジン01in釧路」が開かれる。8月30日の記者会見で「北海道の良さは右半分(道東)にある。その魅力を全国に伝えたい」とあいさつした勝間和代大会委員長に、その真意を聞いた。(釧路支社・武弓 弘和記者)

右半分(道東)が面白い 需要整えば滞在型リゾートに

 ―道東との関わりは。

 友人夫妻が北見市に住んでいたので、毎年夏に来ていた。2010年には友人宅から歩いて行ける所に家を借り、東京と行ったり来たりしながら夏は避暑、冬はスキーやスノーボードなどで月2回程度滞在するようになった。

 中古車で札幌、帯広、旭川、稚内、知床などを回った。特に釧路は、東京から友人が来るたびに湿原などを見せるため何度も足を運んでいる。

 ―道東の魅力は。

 人口密度が低く、自然が豊か。世界的にそうした地域は得てして文化レベルが低かったり、衛生状態が悪かったり、治安が悪かったりする。あるいはリゾート地だと物価がものすごく高い。

 しかし北見や釧路を含む道東は、自然が豊かで人口密度も低いのに生活コストが安く治安も良く、スーパーやホームセンターもそろっていて生活に何ら不自由がない。奇跡のバランスといえる。

 北見の家は事情があって3年ほどで解約してしまったが、私のように東京では息が詰まる人たちがリフレッシュするのに適している。だから蝦名大也市長には、釧路でも仕事ができるようテレワークセンターを造ってほしいとお願いした。仕事の場だけでなく、長期滞在施設やシェアキッチンみたいなものもあれば。

 

 ―そんな道東の魅力が地域外の人たちにはなぜ伝わらないのか。

 来たことがないから知らないのだと思う。私も、以前は道内に千歳以外の空港があることすら知らなかった。北見に呼ばれても、千歳からどう行けばいいのかと考えてしまったり。

 例えば東京の人は、千葉や山梨などは遠足でも行くからある程度知っているが、北海道は行っても札幌、小樽、函館程度、最近ではせいぜい旭山動物園で、右半分には旅慣れた人しか来ない。しかし私は、北海道の面白さは右半分にあると思っている。見渡す限り地平線で、緑や空、大きな湖が広がっているという空間は、帯広以東にある。

 ―どうすれば道東に足を運んでもらえるのか。

 まずは交通費を下げること。特に一番いい夏が高い。LCCや早期購入割引などがあっても、まっとうに買うとものすごく高い。1カ月半以上も前に予定を決められる人は少ない。

 時間距離は実は大した問題ではなく、東京からなら大阪へ行くのとそれほど変わらない。気軽に、安い航空券を探す努力をしなくても来られる環境を。パッケージツアーも面白いものが少ない。

 ―道東の可能性は。

 私が特に好きなのは屈斜路湖の眺め。北見で仕事していて、疲れたら夕方からでも出発し、峠から湖を見下ろして帰っていた。摩周湖や阿寒湖へもふらっと出掛けた。食べ物も安い。東京では魚介類をほとんど食べないが、こっちではスーパーでぬかサンマやホッケ、ウニなどを買って食べた。

 私は右半分に、バンフ(カナダ)、インターラーケン(スイス)といった海外の滞在リゾートのようなイメージを重ねている。バンフへ行くには1回で30万円はかかるが、片道1、2万円で済むなら全然いい。生活コストが安く、長期滞在できる環境が整えば可能性はあると思う。

 勝間 和代(かつま・かずよ)1968年、東京生まれ。早大ファイナンスMBA、慶大商学部卒業。現在、㈱監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、中央大ビジネススクール客員教授として活躍中。

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