北海道開発局は、北海道胆振東部地震で被災した直轄農業施設の被害額を21日付でまとめた。かん排勇払東部、新鵡川、早来の3地区合計で243億8300万円の復旧費が必要と試算。瑞穂ダムなど全容が明らかになっていない箇所の被害規模と再度災害防止を含めた復旧工法が確定すれば、金額はさらに膨らむ可能性がある。
農林水産省に対する被災状況の中間報告として直轄施設の原形復旧費用を集計。同省では公共土木施設災害復旧の申請に必要な被害報告を災害発生後30日をめどにまとめることにしている。
事業実施中の勇払東部地区は用水路や厚真ダムの被害で205億円の被害額を試算。道営の補助事業で整備した用水路も含めると300カ所以上で地盤の隆起や埋設管の変状が確認されている。
厚幌導水路から分水する豊川用水路ではFRPM製の埋設管が破断。開発局農業設計課では、再度災害防止には耐震継ぎ手管への更新といった改良復旧も必要とみている。
山林の崩壊により厚真ダム洪水吐きや貯水池への土砂の流入も発生しており、崩壊面の復旧などに必要な費用も算入。このうち洪水吐き内に堆積した土砂、倒木の除去には既に応急復旧で着手している。
新鵡川地区も同じく事業実施地区で、8億8300万円の被害額となっている。山沿いを走るフリューム用水路の土砂閉塞(へいそく)や排水路護岸ブロックに波打ちが発生した。
事業が完了した早来地区は瑞穂ダム貯水池への土砂流入や用水管路の変状で30億円の被害が発生。ダム天端部舗装と排水トラフの隙間に沿う形で幅1cm程度のひび割れが生じ、埋め戻しにかかる費用も計上した。
瑞穂ダムでは専門家による詳細な被害状況調査を予定しており、発生原因の特定と必要な対策の検討を進める。