国土交通省が公募していた循環のみち下水道賞の広報・教育部門に、芦別市と星槎国際高本部校(芦別)が取り組んだ「行政と高校がコラボした下水道PR」が選ばれた。同高3年の田中結衣さんは「本部校の生徒の応援もあって受賞できた。うれしい」と喜びを語っている。
同高は通信制の高校だが、授業の一環として、校舎を置く地域の魅力を発掘する授業を展開している。今回の下水道PRの取り組みは、本部校の生徒が芦別の魅力を探る際、道路に設置されているマンホールの絵柄が星座の模様であることに気付き、最近は〝マンホールマニア〟も多く、テレビなどでも取り上げられる機会も増えていることから、マンホールファンに芦別へ足を運んでもらおうと研究のテーマに選んだ。
一方、芦別市は1984年に、星がきれいに見えるまちであることをPRするために「星の降る里」を宣言。これを受け、92年には市役所職員が芦別からも観測できる、おおぐま座、ふたご座、はくちょう座、おとめ座、オリオン座、さそり座、いて座の7種類をモチーフにしたマンホールの絵柄を考案した。
現在、市内には約2800個のマンホールが設置されているが、このうち約2500個が星座マンホールとなっている。昨年は市が星座マンホールを設置し始めてから、ちょうど25年という節目の年にも当たり、下水道広報プラットホーム(GKP)が企画・監修するマンホールカードも作製した。
同高の研究は、2016年度に実施したもので、生徒たちは商工会議所を訪れたり、インターネットを活用し、芦別やマンホールに関する情報収集を行い、研究成果を「地域の課題解決 芦別再盛!芦別マニア」としてまとめた。
生徒たちが調べたところによると、星座マンホールは全国的にも希少で、星座をモチーフにしているマンホールのうち、約30%は芦別が保有していることも分かった。そこで、希少なマンホール目当てに実際に芦別を訪れてもらおうと、星座マンホールがどこにあるか位置を示すマップや、マンホールを広くアピールするための缶バッチも作製した。
こうした研究の成果を基に、17年度からは市役所ともコラボレーションし、地域の祭りに参加して下水道をPRしたり、市役所職員が同高を訪れて下水道の役割を教える授業などを実施。
田中さんは「これまで下水道のことをよく分かっていなかったが、深く知ることができた。マンホールはいろいろな絵柄があって面白い」と、マンホールの魅力にも気付いた様子。担当する同高の辻本敏博副センター長も「奇抜な視点を持ってマンホールに着目したが、まさかそれが認めてもらえるとは思わず、すごくうれしい」と話していた。
表彰式は、「下水道の日」である9月10日に東京で開かれ、田中さんが石井啓一国交大臣から賞状を受け取った。
市上下水道課の中村修課長は「今まであるのが当たり前だったものがまちのPRや観光資源にもなる。下水道の普及、啓発はもちろん、自信を持ってこれからのまちづくりに貢献していきたい」と述べている。