■胆振東部地震の大規模停電時に運転継続
9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震は全道規模の停電を引き起こし、震源から離れていて比較的震度が小さかった地域も含めて道内各地に大きな影響をもたらした。道路や建物などにほとんど被害がなかった釧路市内でも「あと2時間で断水になる」といった噂が早朝からSNSなどで飛び交ったが、市内の浄水場はいずれも自家発電設備で運転を継続。水不足による大きな混乱は防ぐことができた。
釧路市の浄水場は旧釧路市内をカバーする愛国のほか、旧阿寒町内に阿寒と阿寒湖畔、旧音別町内に音別と直別の5カ所がある。
このうち愛国は浄水場本体に6000㍑、送配水ポンプ場に7000㍑のA重油用タンク、場外の導水ポンプ場には5000㍑、貝塚送配水ポンプ場には7000㍑の軽油用タンクを備え、最短でも15時間連続運転できる。
他の4カ所は軽油を燃料とし、阿寒は貯蔵量490㍑で最短27時間、阿寒湖畔は950㍑で29時間、音別は490㍑で27時間、直別は40㍑で6時間の連続運転が可能。
全道ブラックアウトでは5カ所とも外部電源が断たれ、復旧までは最も早い直別で7日午前1時35分、阿寒湖畔で同1時40分、音別で同2時、愛国で同7時15分、最も遅い阿寒で8日午前0時とそれぞれ1―2日を要したが、いずれも運転が止まることはなかった。
この間、愛国はそれぞれのタンクにおよそ4回ずつ、阿寒は2回、阿寒湖畔は1回、音別は1回、それぞれ燃料供給を受け、容量の小さい直別の場合はタンク以外の場所に備蓄してあった燃料を3回ほど職員が給油した。
道路被害がなかったことも幸いし、直別を除く4浄水場は、2009年1月28日に市と包括的な「燃料等の供給協力に関する協定」を結んでいる釧根地方石油業協同組合の組合員企業から給油を受けることができた。
このため、建物単位でポンプアップが必要な高層施設や、増圧ポンプを要する高台の一部地域では断水や水圧低下が見られたものの、大半の住宅や事業所が水に困ることはなかった。
市は近く同組合を訪れ、今回の協力に感謝の意を伝えると同時に、今後も優先的に燃料の供給を受けられることを再確認するとしている。