ノーステック財団(北海道科学技術総合振興センター)の幌延地圏環境研究所は3日、地層中に含まれる石炭やケイ藻岩からメタンガスを製造する技術で特許を取得したと発表した。有機物を地上へ運ぶ手間を掛けずに地下で化学分解し、地下に存在する微生物を活用してメタンを作ることができる技術。今後、環境負荷の低いエネルギー資源として注目されそうだ。
同研究所は2012年度から「褐炭層やケイ質岩層などに含まれる未利用有機物を微生物の作用によってバイオメタンに変換する方法」を研究。先行研究では、地下環境に生息するメタン生成菌が、単純構造の低分子量有機酸を使ってメタンを作ることを明らかにした。さらに北海道北部の地層中に含まれるメタンが、微生物起源であることも解明した。
しかし、メタン生成菌は、地層中に存在する褐炭やケイ藻岩層中に含まれる複雑な構造の難分解性有機物を直接利用することも判明。さらに道北の地層中に存在するメタンは資源量が乏しく、工業で利用するには褐炭やケイ藻岩層中に含まれる難分解性の有機物を迅速に分解し、バイオメタンに変換する技術が必要なことに直面した。
その後の研究で、道北にある天北炭田の褐炭層やケイ藻岩層などの地下環境に存在する未利用有機物を、微生物の作用によってバイオメタンに変換する技術を開発。メタンの想定生産量は1㌧当たり3・7m³で、米国のシェールガス鉱床や炭層ガス鉱床でのガス埋蔵量と匹敵し、経済・工業的に可能なことが分かった。
特許登録日は18年9月7日。同研究所では「特許や関連する研究をさらに発展させ、資源の乏しい日本で、未利用だった地下環境中の有機物を新たなエネルギー資源として利用できるようにしたい」と話している。