若者育成の助成継続へ 北保証が高評価受け検討

2018年10月10日 07時00分

 北海道建設業信用保証(本社・札幌、吉田義一社長)は、本年度が最終年度となっている「道内建設業若年者育成助成事業」に関するアンケート結果をまとめた。事業への評価では「入職促進、人材育成の両事業とも高評価を得ており、今後の存続への期待も高い」とし、同社は「来年度以降の助成事業の実施について、前向きに検討する必要がある」と結論付けた。山中憲治常務は「この結果を見ると、今の事業規模は最低限維持しなくてはならないだろう」との見通しを示した。同社では、早急に事業規模や期間、対象事業の検討を進め、11月27日に開く取締役会に諮る考え。

■入職促進にも効果

 同事業は、道内建設業に入職する若年者の確保と育成を目的に2014年度からスタート。5カ年で計5000万円の助成を予定し、これまで高校生を対象に第1種酸素欠乏症の特別教育や施工管理技士等資格取得支援、建設業PR漫画製作などに助成してきた。今回の調査は、どのような効果があったかを検証するとともに、どのような取り組みが求められているかを調べるため実施した。

 調査は、助成を受けた北海道建設業協会と傘下の地方建協、建設産業専門団体北海道地区連合会、北海道建青会を構成する24団体、事業対象の高校13校、道建協傘下の地方建協の理事企業53社の4パターンで実施した。

 その結果、「管内の建設会社への就職希望者は増えたか」の問いに、学生向けの事業を行った13団体のうち、12団体が「増えた」「やや増えた」と回答。理由として「建設業に対する学生の理解が深まったため」が多かった。「学校と地元建設業界との関係は良くなったか」との設問については、全ての団体が「良くなった」「やや良くなった」と答え、その訳として「事業実施によって相互理解が深まった」などが挙がった。

 新入社員向けなどの事業を実施した6団体は、「新入社員・若手社員の定着に効果はあったか」の問いに対して、全団体が「効果があった」「やや効果があった」と回答。その理由として「合同研修において建設業界で働くことの意義、心構えなどを理解し、勤労意欲と自己研さんを喚起したことは定着率向上につながる」とした。

 「今後、助成を受けたい事業は(最大3つ選択)」には15団体が回答。上位から「建設業に関する資格取得支援」「建設業新入社員合同研修」「児童・学生等を対象とした建設業教育」の順だった。このうち10団体が助成事業の継続を求め、現事業の対象が高校生以上となっていることから、工業高校などへの進学者増のため小・中学生や保護者への事業も助成してほしいとの声もあった。

 第1種酸素欠乏症の特別教育や施工管理技士等資格取得支援を実施し、回答した高校は延べ17校。両事業とも全校が生徒、先生ともに「役に立った」「少し役に立った」と回答した。その理由として生徒は「資格取得の一環で、修了証がもらえるのでうれしい」「進路希望が多様化する中、建設業の一端を知る機会となり、進路選択の一助になっている」などを挙げた。

 自由回答形式で「建設業における若年者の入職促進に資するために有効な事業」を求めたところ、「現場見学会」「インターンシップの受け入れ」「技能的な体験学習」など実際に建設現場や技術者に触れる事業を求める声が多かった。

 地方建協の理事企業は43社が回答。「企業として現在取り組んでいる人材確保のための事業(複数回答可)」では、「児童・学生向けの建設業教育」と「建設業に関する資格取得支援」が上位に入り、「今後実施を望む助成対象事業(最大3つ回答)」は「建設業に関する資格取得支援」と「働き方改革に関する事業」が同率1位。団体での調査では低かった働き方改革が個別企業では上位に入り、同じく団体では低かった「生産性向上に関する事業」も個別企業では同率3位だった。

 これらの結果から、同社では「助成の評価は非常に高い。提供できる助成資金は限られるが、この結果を踏まえれば、来年度以降の実施について前向きに検討する必要がある」と結論付けた。


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