KYB製、道庁本庁舎に データ改ざん 道内で波紋広がる

2018年10月18日 07時00分

 KYB(本社・東京)と子会社のカヤバシステムマシナリー(同)の免震・制振オイルダンパー検査データ改ざん問題の波紋が道内に広がっている。道内も12件が判明しており、札幌市白石区複合庁舎、道庁本庁舎、幕別町庁舎で同社が製造した免震ダンパー、さっぽろ創世スクエア、新NHK札幌放送会館で制振ダンパーが使われていることが判明。行政職員や民間企業は、施工業者などへの問い合わせなどに追われている。(関連記事4、12面に)

■白石区複合庁舎、幕別町庁舎、創世スクエアなども

 道庁本庁舎では免震オイルダンパーがKYB製品であり施工者に照会している。札幌市では、白石区複合庁舎の地下1階部分にKYBなどが製造した免震オイルダンパー10カ所の適合性を施工者に確認中。また制振構造を採用したさっぽろ創世スクエアでも、KYBの制震ダンパーが設置されていることが判明している。

 十勝管内の役場としては初めて免震工法を採用した幕別町役場庁舎では、免震オイルダンパー12基が改ざんされた製品の疑いがある。

 日本放送協会(NHK)が札幌市中央区で移転改築を進めている新NHK札幌放送会館でも、KYB製の免震ダンパーの使用が判明した。現在、施工業者がKYBに問い合わせて適合性を確認している。

 施設管理者も困惑を隠せない。免震構造を採用した北見赤十字病院はKYB製品か確認を急ぐ。病院担当者は「設計施工者とメーカーに確認してもらうしかない。もしKYB製品なら早期に対応しなければならない」と明かす。耐震改修を検討するさっぽろテレビ塔担当者も「こういうケースが出ると困る」と心配する声も挙がる。

 KYBなどは建築・土木の免震・制振オイルダンパーを製造。揺れを抑える減衰性能は基準値からのぶれを10%以内に収める基準範囲を逸脱する製品の調整・再検査をせず、データを改ざんして出荷していたことが自主調査で判明した。

 改ざんの可能性が高いのは2000年から18年9月までの間に製造された免震・制振ダンパー1万928個、全国986施設に納入。道内でも免震が9件、制振が3件の施設に設置されたことが判明している。

 性能検査データが改ざん製品だった場合、KYBが設計者と共に構造計算をし、当面の安全性が確保されているかを確認。施設管理者との間で協議して交換工事を実施する。検査プロセスでは構造計算適合性判定の専門機関が第三者として監査することも想定する。


関連キーワード: 建築 耐震化 資材

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