函館開建は25日、函館江差自動車道と函館新外環状道路の現場見学会を開いた。地形や環境に合った工法を選定し、効率的な施工に努めている技術者の声を交えながら紹介。想定より硬い岩盤だったため石を砕く機械を導入したことや地山の安定化対策、CIM活用など、さまざまな検討を重ねて道路や構造物を造る過程を伝えた。
宿泊研修中の知内中2年生43人が訪れたのは函館江差道の荒井建設、ピーエス三菱施工の2現場。
50万m³に上る切り土区間がある木古内IC周辺は、硬い岩盤でバックホーでは施工できず、大型ブレーカなどを使って破砕・成形していて、大型重機が稼働する迫力ある様子を間近で見た。
人の顔が描かれた石製品が見つかるなど埋蔵文化財の発掘調査状況を紹介したほか、渡島大橋(296m)では〝やじろべえ〟のように左右バランス良く架設したことや、橋上ウオークや橋材に名前を書くなどして思い出を作った。
生徒たちは「木古内と函館がつながると聞いてワクワクした」「道路の造り方を教えてもらい、貴重な経験だった」などとめったに立ち入れない現場の雰囲気を感じたようだった。
一方、函館新外環状道路には函館建設業協会との連携事業として函館高専社会基盤工学科の4年生38人を招待。このほど貫通した見晴トンネルや日吉IC周辺、湯の沢川橋など4現場を巡り、地元の大型事業で用いる技術に関心を寄せていた。
伊藤組土建・宮坂建設工業共同体施工のトンネル内では施工手順を映像で確認した後、終点側の坑門工、吹き付けコンクリート、防水シート、覆工コンクリートと順を追って変わる壁面を見て回った。天端崩落防止へAGF工や鏡ボルトなどを併用し、慎重に施工したことを伝えた。
このほか、道路の切り替えが進む日吉IC周辺では、ぜい弱な地山に対する法面の安定化対策で安全な通行を確保していることや、切り土の土砂を土質改良して盛り土に有効活用しているといった現場の特徴を解説。
両道路の概要を説明した同開建函館道路事務所の阿部正隆計画課長は「建設業にはさまざま仕事があり、新しい技術を取り入れて仕事の仕方が変わってきている。この見学会での体験を進路に生かしてほしい」と話していた。