プラチナ・ウォーター(本社・札幌)は、水をナノメートルの大きさに生成し、重油や軽油などの石油製品と吸着混合する技術を開発した。通常使っている燃料の半分を水で代替できるため、燃料費の削減につなげられるという。混合装置として販売またはリースする方針で、温泉施設や工場、建設現場などで広く使ってもらいたい考え。石油製品価格が4年ぶりの高値を付ける中、既に本州企業からの引き合いも出ているという。
水を「ナノ水」と呼ぶ0・5―10mの大きさに生成し、イオン化結合力によって油と吸着混合する。混合燃料の品質や発熱量はJIS規格と同等以上で、ボイラの燃焼ノズルに詰まるなどの心配もない。
開発した天羽則博社長によると、ナノ水には大半の物質を溶かす力があり、自ら電位移動して吸着することで軽油や重油、灯油と結合できる。その結合力は、海水中の塩分と水が結合している状態と同じだという。
2017年にドイツのベックマンコールター社に測定を依頼し、ナノ水を安定的に生成できることを確認。さらに都内の計量会社に混合油の分析を依頼して、引火点や発熱量がJIS規格と同等以上にあることも立証した。水分量は0.1%以下で、A重油の3分の1だった。
1時間当たり最大20㍑の混合燃料を製造できる200型から、300㍑を作ることができる7200型まで全6種類を用意。いずれも電気で動き、将来的には災害時などに備えてバッテリー稼働できるよう仕様変更する意向だ。
ナノ水の原料となる水は水道水のほか、地下水でも利用可能。50対50の割合で混ぜるため、単純に普段使っている油の量を半分に減らせるイメージだ。
販売価格は、1時間当たり最大100㍑の混合燃料を製造できる2400型で1800万円、5年リースなら月額30万円(いずれも税抜き)を設定している。
月に7万2000㍑の混合燃料を使用した場合、A重油をフルに使うよりも234万円(1㍑当たり65円で試算)のコスト削減効果があり、水と電気のランニングコスト(約3万8304円)を除いても導入効果はあるという。そのため、装置購入などの初期費用は半年から1年で減価償却できる計算だ。
プラチナ・ウォーターは混合装置の開発・製造メーカー。販売はクリーンエアー(本社・札幌)が担う。
天羽社長は「21世紀は水の時代。世界的には脱炭素が進んでいる。環境対策を講じながら利益を上げられるシステムなので、燃料を自家消費する企業を中心に使ってもらいたい」と話している。