堀口組(本社・留萌、堀口哲志社長)など6団体で組織するビジュアル・コンストラクションによる遠隔臨場実験コンソーシアムは2日、同社会議室で公開見学会を開いた。実験では工事現場にライブカメラを設置し完了まで全ての映像を記録。遠隔地にある本社や発注機関にモニターを置き、現地に行かずに検査などを実施できることから、移動時間短縮や書類の大幅削減など建設業でも喫緊の課題になっている生産性の向上と働き方改革への貢献が期待されている。
業界や発注機関などから52人が見学に訪れた。はじめに堀口社長は「長年の課題であった働き方改革や品質、収益性の向上など建設業界全体の問題解決に役立つ取り組みと考えている」と実験の意義を強調した。
続いて、コンソーシアムの一翼を担う立命館大の建山和由教授が実験の目的と戦略について講演。今後、高齢者の人口が横ばいか微減で推移すると予測される一方、15―60歳の人口減少が進み、社会のあらゆる職種で人材不足が深刻化する状況が不可避であることを指摘した。
また、過去20年間で一般製造業の1時間当たりの利益が2倍に改善されているのに対し、建設業は変化が見られないことから、生産性の改善に大きな潜在力を秘めており、そこに着目して国土交通省はi―Constructionを展開していると説明。
今回の実験では現場の見える化により、移動時間の短縮や将来的な書類の大幅削減だけでなく、安全管理と品質管理の大幅な向上、映像記録が残ることによる技術、技能の継承、維持管理への活用など多くの利点が見込まれているとした。
実験場となっている239号苫前町霧立峠改良の現場は留萌から片道1時間15分の距離にある。現場との交信では、本社会議室からの指示で施工状況をつぶさに点検。実際に現場で立ち会い検査しているのと遜色ない状況が披露された。コンソーシアムは今後、現場や発注者の意見を取り入れながら、さらなるシステムの向上を目指していく。