♪ひとりとひとりが腕組めば、たちまち誰でも仲良しさ―。
新冠町内の福祉施設で、子どもたちが音楽療法士に導かれながら笑顔で歌声を響かせる。体を動かし、楽器も鳴らして全身で音楽を楽しむ姿は真剣そのものだ。
室蘭開建の日高自動車道新冠町節婦南改良を施工する小金澤組(苫小牧)が企画した活動。
河野文利所長らが、現場近くにある社会福祉法人新冠ほくと園が運営する「新冠町子ども発達支援センターあおぞら」を支援した。建設IT職人組合クライス(札幌)の佐々木実代表が協力し、発達に遅れのある児童の心を「音楽療法」で癒やしてきた。
音楽療法は、歌や楽器を介し児童の発達度に合わせて計画的に療育やリハビリをするのが目的。
NPO法人北海道音楽療法センターが認定する音楽療法士の荒井めぐみさんと白鳥薫子(ふさこ)さんが全3回で講師を務めた。
5日の最終回では、放課後等デイサービスとして新冠、日高各町内から通所している小学1、2年生の4人が参加=写真。職員や河野所長らと童謡やアニメの主題歌を歌いながら体を目いっぱい動かし、「楽しかった」と充実した表情だった。
初回は人見知りする子がいたが、回を重ねるごとに気持ちを表現できるようになり、小金澤組の社員を「工事現場のおじさん」として慕う。林英二センター長は「音楽のいい点を最大限に引き出している」と音楽療法を評価していた。
高齢者介護を担う音楽療法の役割は徐々に注目されているが、まだ認知不足なのが実情。
この企画で音楽療法士が活躍する場が創出され、荒井さんは「企業の理解がないと、この機会に恵まれなかった」と話す。小金澤組では今後も子どもたちの支援を続ける考えだ。(苫小牧)