南組(本社・様似)や寒地土木研究所などが共同研究している「高炉スラグ系材料及び機械化施工による超高耐久性断面修復・表面被覆技術の開発」が、2018年度の農林水産省官民連携新技術研究開発補助事業に認定された。これを受けて8日、同社は美唄市内の沼貝幹線用水路で試験施工を実施。人手不足が深刻な問題となる中、機械化によって課題解決が期待される新たな技術を披露した。
この事業は、農業農村整備現場にすぐに生かせる、ほ場レベルでの創意工夫などによる新技術を官民連携で開発し、農業農村整備を効率的に推進することが目的。
認定されたのは、凍結融解作用に対して高耐久性を持つ高炉スラグ系材料による超高耐久性断面修復・表面被覆工法を開発し、機械化による施工品質の確保・向上、技術の確立を図る取り組み。南組と日鉄住金セメントのほか、寒地土研寒地農業基盤研究グループ水利基盤チーム、鳥取大、室蘭工大が試験研究機関として参画している。
南組の子会社であるエフモル工業が開発した高炉スラグと繊維入りポリマーセメント「エフモル」を用いる。同社が開発した施工補助機械「左官アシスト」でエフモルを自動吹き付けする。その後、自動ならし機で粗仕上げし、最後の表面ならしを職人がするという流れだ。
農業用水路、頭首工、ダムなどの水利施設のほか、橋梁やボックスカルバートといった土木構造物、漁港や港湾、海岸構造物のコンクリート補修が可能。左官工程の8―9割を機械化する。
8日、北海土地改良区の協力を得て、管理施設である美唄市内の沼貝幹線用水路で試験施工をした。土改区職員のほか、開発局やコンサルタント会社など関係者約40人が参加。供用開始から40―50年経過している同用水路で、幅2・5m、高さ1・5mの補修作業を見学した。
農水省は今後、延長1500㌔の水路の補修や更新が必要としている。高齢化や人手不足が進む中、機械化施工は今後さらに需要が増すことが予想される。
左官アシストは静岡県や東北地方の用水路で導入。道内では昨年、留萌開建が進める潮見幹線排水路改修で採用された。南修社長は「人手不足に対応できるし、機械化により付着力が均一になるなど、品質の安定が図られる」と話す。今後はカーブした場所や底版に適用範囲を広げるほか、全国展開を図る考えだ。