美唄で用水路補修の機械化を試験施工 南組の左官アシスト

2018年11月10日 16時00分

 南組(本社・様似)や寒地土木研究所などが共同研究している「高炉スラグ系材料及び機械化施工による超高耐久性断面修復・表面被覆技術の開発」が、2018年度の農林水産省官民連携新技術研究開発補助事業に認定された。これを受けて8日、同社は美唄市内の沼貝幹線用水路で試験施工を実施。人手不足が深刻な問題となる中、機械化によって課題解決が期待される新たな技術を披露した。

 この事業は、農業農村整備現場にすぐに生かせる、ほ場レベルでの創意工夫などによる新技術を官民連携で開発し、農業農村整備を効率的に推進することが目的。

 認定されたのは、凍結融解作用に対して高耐久性を持つ高炉スラグ系材料による超高耐久性断面修復・表面被覆工法を開発し、機械化による施工品質の確保・向上、技術の確立を図る取り組み。南組と日鉄住金セメントのほか、寒地土研寒地農業基盤研究グループ水利基盤チーム、鳥取大、室蘭工大が試験研究機関として参画している。

 南組の子会社であるエフモル工業が開発した高炉スラグと繊維入りポリマーセメント「エフモル」を用いる。同社が開発した施工補助機械「左官アシスト」でエフモルを自動吹き付けする。その後、自動ならし機で粗仕上げし、最後の表面ならしを職人がするという流れだ。

 農業用水路、頭首工、ダムなどの水利施設のほか、橋梁やボックスカルバートといった土木構造物、漁港や港湾、海岸構造物のコンクリート補修が可能。左官工程の8―9割を機械化する。

多くの参加者の前で試験施工をした

 8日、北海土地改良区の協力を得て、管理施設である美唄市内の沼貝幹線用水路で試験施工をした。土改区職員のほか、開発局やコンサルタント会社など関係者約40人が参加。供用開始から40―50年経過している同用水路で、幅2・5m、高さ1・5mの補修作業を見学した。

 農水省は今後、延長1500㌔の水路の補修や更新が必要としている。高齢化や人手不足が進む中、機械化施工は今後さらに需要が増すことが予想される。

 左官アシストは静岡県や東北地方の用水路で導入。道内では昨年、留萌開建が進める潮見幹線排水路改修で採用された。南修社長は「人手不足に対応できるし、機械化により付着力が均一になるなど、品質の安定が図られる」と話す。今後はカーブした場所や底版に適用範囲を広げるほか、全国展開を図る考えだ。


関連キーワード: 新技術

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

  • 川崎建設
  • オノデラ
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (3,164)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,488)
ヒトデ由来成分でカラス対策 建設業界に鳥類忌避塗料...
2019年06月28日 (1,380)
交通体系整備を考える会、札幌外周高速道を構想
2023年06月20日 (1,358)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,329)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。