本間俊明道水産林務部林務局長が12日、釧路センチュリーキャッスルホテルで開かれた釧路地方森林・林業・林産業活性化推進議員連盟協議会の設立20周年記念講演会で講演した。本間局長は森林・林業・林産業の活性化に向け、森林施業トータルでの低コスト化や60歳以上の大量退職を見据えた若手の確保・育成が急務であると訴えた。
本間局長は①本道の森林・林業・木材産業の動向②森林づくり基本計画の概要③産業の活性化に向けた視点―の3点について解説した。
道産木材自給率については、2000年を底に上昇に転換、じわじわと上昇傾向にあり、16年度には58%に達しているとした。しかしながら、カラマツ製材は梱包(こんぽう)材や輸送資材の用途が8割で「今後は建築資材への展開が課題である」とした。
また、木材利用を巡る情勢の変化として道内で初めてCLT(直交集成板)生産工場が誕生したことや木質バイオマス発電施設の稼働など、建築分野での新たな需要やエネルギー利用の動きを挙げた。
さらに、TPP11や日EU間のEPAによる林産物への影響として「集成材がより入ってきて価格が落ちるのでは。対応するためには品質の確保や安定供給が必要になる」と強調した。
こうした事象に対応するため、活性化に向けた視点として挙げた低コスト化による林業収益向上では、低コスト化に必要な要素として「生産性が上がれば生産コストが下がるとは限らない。施業の集約化やオペレーターの技術向上、路網整備などの組み合わせが大切」とした。それに向けた今後の取り組みとして路網整備と平行した高性能林業機械の導入推進による現地の実情に適した作業システムの構築を挙げた。
担い手の確保では、20年度の開校を目指す、仮称・北海道立林業大学校の入学者確保と地域に根差す人材の育成を掲げたほか、木育プログラムを通じた産業に対する理解向上を進めるとした。
さらに、活性化に向け、原木などの安定供給、中間集積地の活用や複数工場の連携による集約といった供給力強化、道産木材の新たな需要創出・利用拡大の一体的な推進が必要であるとした。