イザベラ・バードの道を辿る会(金子正美会長)は10日、「写真でたどるバードの道」と題した記念シンポジウムを平取町二風谷の沙流川歴史館で開いた。140年前に来道した英国人女性旅行家イザベラ・バードの視点を通して、参加者約100人が函館から平取に至るまでの足跡をたどり、バードが旅をした140年前の北海道に思いをはせ、未来に向けた地域創造を考えた。
最初に、藤女子大の松本あづさ准教授が「イザベラ・バードが旅をした1878年の北海道」と題して基調講演。1875年にロシアと締結した樺太・千島交換条約により国境が画定したこと、日本戸籍への編入や女性の入れ墨禁止など開拓使による政策を通し、アイヌを取り巻く情勢を解説した。
バードが記した「日本奥地紀行」には、近代的な制度・規制が深まるなかで維持されてきたアイヌの文化や日常生活が記録されており、「当時の人々の生活を知る上で貴重な記録。他の記録と合わせることで立体的で精緻な歴史が分かる」と述べた。
部門報告では、金子会長が現在の地図に1896(明治29)年当時の地図を重ねることでバードが歩いた道を解説。北ノ森自然伝習所の三木昇氏が日高海岸地方でバードが見た風景を写真で紹介した。萱野茂二風谷アイヌ資料館の萱野志朗館長はバードが記録した料理の記述が140年前を知るためにも価値があると伝えた。
続いて、イザベラ・バードの道を辿る会の七飯、室蘭、白老、平取部会の代表がそれぞれの活動を報告した。