イトイ産業(本社・士別)で土木工事などに従事する木村鈴子さんが、現場の状況に合わせて工夫を凝らす丁寧な姿勢が評価され、2018年度の優秀施工者国土交通大臣顕彰(建設マスター)に左官工として選ばれた。本年度の道内受賞者のうち唯一の女性でもあり、自身の経験を踏まえ、「女性目線で見てもとてもやりがいのある仕事、と知ってもらうための工夫が必要」と話すなど、建設業で活躍する女性がさらに増えることを願っている。
■工夫凝らし丁寧な仕事
木村さんは1958年生まれ、剣淵町出身。乳酸菌飲料の配達員を仕事にしていたが、ある日、知人が油圧ショベルを運転する姿を見て建設業に興味が湧き、30代半ばで地元建設業へ転職した。
イトイ産業には20年ほど前に入社。小柄な体格を生かしたマンホール内のインバート施工が得意で、「セメントの配合など専門性が要求される上、施工箇所ごとに水量や勾配などの条件が違うので、知恵を働かせて仕上げるのが楽しい」とやりがいを語る。
印象に残っている現場は東日本大震災被災地である東北地方整備局発注の海岸堤防建設。「余震の発生や生コンの出荷制限などの困難を乗り越えて完成させたときの感動が大きかった。他では経験できない仕事です」と感慨深げに振り返る。
最近では、同社が外国人技能実習生として受け入れているベトナム人女性の世話役も務めている。仕事では時に厳しく接するが、休日には自分の時間を惜しむことなく買い物やレジャーにも連れて行き、日本での生活になじめるよう手助けする一面も。実習生からは「お母さん」と呼ばれ慕われているという。
会社へのこうした長年の貢献から、菅原大介社長が国土交通省へ建設マスターとして推薦し、見事、受賞者に選ばれた。「先輩や同僚から学んだ経験や技術が賞に結び付き、心から感謝しています。これからも技術を磨いていきたい」と話している。