札幌市は19日、2019年度の予算要求概要を明らかにした。一般会計の要求総額は、18年度当初比1.5%増の1兆264億9900万円に上る。来年4月に市長選を控えた骨格編成だが、中期実施計画に掲げる政策事業を中心に、北海道胆振東部地震の対応や防災対策を積み上げ、初の1兆円台となった前年度要求を上回り、過去最大となった。
■骨格編成ながら震災対応積み上げ
12月の市長査定を経て、来年1月下旬に予算案を発表する。骨格編成のため市長選後に肉付け編成可能な余地を残す。
経常事業に加え、政策事業は財政的な裏付けに基づき策定した中期実施計画「まちづくり戦略ビジョンアクションプラン2015」に掲げたものを取りまとめた。
要求額は、経常経費で社会保障や福祉関連など扶助費の増大、政策費は公営住宅や学校施設など更新期を迎えた市有建築の維持更新費の増加が押し上げている。
局別要求を見ると、まちづくり政策局は震災を踏まえ、新規に強靱(きょうじん)化計画の改定費を計上した。北5西1、西2街区は北海道新幹線札幌開業に向けた再開発の具体像を示す基本構想策定などに2億円を要望する。
再開発補助は優良建築物を含め北4東6地区など6地区に34億円を計上したが、要求額は前年度から半減。丘珠空港ターミナルビルのバリアフリー化などには3億円を配分した。
建設局を見ると道路は街路改良に94億円、道路改良に61億円、交通安全施設に32億円、道路橋梁補修に31億円を要求。橋梁は木挽大橋などの耐震補強・長寿命化に49億円、北24条大橋新設は18億円を計上した。道路除雪は前年度を13億円上回る173億円を要望する。
公園は公園再整備に31億円を投じる方針。造成は7億円、街区公園新設に6億円を見込む。下水道河川局の河川整備は雁来川など9河川に18億円を配分した。
都市局は、市住建設や改修費の増加が要求額を押し上げた。二十四軒団地1号棟、月寒F団地5、6号棟、発寒団地4号棟着工費など公住建設費に34億円を充てた。光星団地6号棟改修に32億円、保全推進に53億円を要求。
教育委員会は、学校改築費が前年度を約40億円上回る102億円と大幅増。新陽小、栄中の新規着工を盛り込んだ。リニューアル改修費は43億円、施設改修は57億円を計上した。
危機管理対策室は地域防災計画修正やハザードマップ配布などに1億円を、市民文化局は市内の屋外彫刻の耐震性、安全性確保の調査、文化財施設の耐震化や保全工事の費用を配分した。
消防局は、新規で消防出張所の非常用発電設備更新費や北郷出張所移転改築のほか、定山渓出張所移転改築の基本・実施設計に6億円を充てた。
子ども未来局は、中央区保育・子育て支援センター新設基本・実施設計費のほか、認定こども園整備補助に32億円を計上。保健福祉局は、広域型特別養護老人ホーム新築や福祉避難場所用スペース整備に7億円などを充てる。
環境局では篠路清掃工場解体実施設計を、経済観光局は、大規模な国際会議などを誘致するMICE総合戦略の策定費を新規計上した。