エンジン01in釧路 市民向け講座から

エンジン01 in 釧路 市民向け講座から①

2018年11月24日 12時00分

 2日から4日まで開催されたエンジン01in釧路の目玉は、3日に釧路公立大で繰り広げられた77もの市民向け講座。テレビや新聞で見掛けるような著名人から間近に貴重な話を聞ける機会とあって、釧路市や近隣地域はもちろん道内外からも多くの受講生が集まり、屋外には地元の味を提供する屋台も出店するなど、さながら学園祭の様相を呈した。市民向け講座の一部を9回に分けて紹介する。

「釧路港、北極海航路の出入り口」

講 師

マーケティングコンサルタント 西川 りゅうじん氏
元海上保安庁長官日本空港ビルデング副社長 鈴木 久泰氏
釧路公立大学長 高野 敏行氏
ドリームインキュベータ会長 堀 紘一氏

 進行役を務めたマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は釧路港について、国際バルク戦略港湾に選定された穀物分野では北米との重要な輸出入拠点であり、地球温暖化の影響で注目されている北極海航路の出入り口に当たる北太平洋の要衝と指摘。

地理的優位性を持つ釧路港の可能性を考えた

 「北極海航路は従来のスエズ運河回りに比べ日数を3割短縮でき、大きなメリットがある。日本では道内を除きこのことがほとんど知られていないが、世界は注目している」と前置きした上で、中国はオーストラリアのダーウィンやスリランカのハンバントタといった港湾で99年間の運営権を取得している実態も報告し、地域として国としてどう考えていくべきかと問い掛けた。

 ドリームインキュベータ会長の堀紘一氏は「ほとんどの国は拡張主義」として中国進出への懸念を表明。元海上保安庁長官で日本空港ビルデング副社長の鈴木久泰氏は「中国や韓国の船が北米に向かうときは日本海、津軽海峡、釧路沖を通る。釧路はそれだけ重要な拠点であり、ここをもり立ててうまく使わなくては」と述べ、そのためには穀物バルク以外で、コンテナに積み込むような貨物をどう確保していくかが課題だと説いた。

 釧路公立大学長の高野敏行氏は「高いタワーでもあれば大きな港の全貌を見渡せる。観光に生かせるのでは」と提案。

 鈴木氏もクルーズで大型船が国内外から入ってきていることを踏まえ、釧路湿原や阿寒湖といった資源を生かして観光振興も図ることで港が活性化すると主張した。

 西川氏は「中国が運営権を取得した港では、中国からヒトもモノも持って行くため地元にはほとんど仕事が落ちていない。それでは困るが、中国も世界中の批判は気にしている」とし、マイナス要素を極小化しつつプラス要素を極大化する取り組みの必要性を訴えた。

 このほか堀氏は大学運営についても言及し、これから必要な教育はコンピューター、英語、数学、中国語だと助言。

 高野氏は、同大の学生がアプリ開発などで全国的な賞を何度も獲得していることや、来年度には中国語の専任教員を招く予定になっていることを伝えた。


エンジン01in釧路 市民向け講座から 一覧へ戻る

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 古垣建設
  • 日本仮設
  • オノデラ

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (2,969)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,359)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,317)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,231)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (823)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。