■「フラット35」提携移住・定住に一役
住宅金融支援機構の加藤利男理事長がこのほど来札し、報道各社の共同取材に応じた。道内住宅着工戸数が減少傾向にある中、自治体と連携して提供する「フラット35子育て支援型・地域活性化型」の利用者が増加。移住・定住に一役買っている。今後は、老朽化するマンションの再生に向けた取り組みに軸足を移す構えだ。
―道内の住宅市場環境をどうみているか。
2018年4月から9月までの道内住宅着工は、前年同期比4.9%の減少で、札幌市内では8.7%減っている。原因を探るのは難しいが、道内だけで考えると分譲マンションの落ち込みが大きく、それが数字に表れているのではないか。
分譲マンションの供給は前年度並みとなっているが、継続物件が多く、新規供給分は少ない。札幌市内では住宅適地そのものが少なく、職人不足に加え、工事原価が上がっており、結果として分譲価格が高止まりしていることが理由だと思う。
フラット35についても、18年7月から9月までの申請件数は前年同期と比べて1割減となっている。これは道内だけでなく、全国的に同じ傾向にある。
―消費税増税が予定されているが、影響は。
住宅マーケットに悪影響が出ないよう、国が対応を検討している。国と連携して、住宅を求める人に不便を掛けないよう適切な対応をしたい。
―フラット35の子育て支援型・地域活性化型で自治体と連携して取り組んでいる。
自治体の住宅購入に関する助成事業と、フラット35を合わせた問い合わせが増えている。例えば北広島市では、助成事業予算を全て消化しており、補正予算を組む動きがある。
これまで機構は、良質な住宅に着目し、それを誘導するために金利の優遇を図ってきたが、公共団体の施策を後押しする取り組みは初めてだ。今後も連携を密にして、さまざまな課題に臨みたい。
―今後の展開は。
差し迫った課題として、老朽化したマンションの共用部分のリフォームや建て替えなどについて、テーマを設定して再生に向けた金融上の課題を勉強している。
経年劣化だけでなく、住んでいる人の高齢化が進む。年金で生活している人が多くなると、修繕積立金は難しくなる。金融だけで解決するのは難しく、事業主や金融機関をはじめとする関係者が一堂に会して対応を話し合わなければいけない。機構としては、第4期中期目標を示す際に新たな仕組みに取り組みたい。