おとなの養生訓

おとなの養生訓 第148回「血が下がる」 脳が酸素不足の状態に

2018年11月22日 07時00分

 「血が下がる」という言葉があります。急に頭がくらくらして、気が遠くなりかけたり、目がくらんでしまったりすることを指す言葉です。これらの症状の時、一時的に血圧が低下したために脳への血流が低下して、脳が酸素不足に陥っている状態であることから、こういう言い方がなされます。こうなると、顔は蒼白、冷や汗が出て、震えが起こったりもします。

 こういう一時的な低血圧を示す状態を、自律神経失調症といいます。朝、ベッドから起き上がろうとすると、めまいがするとか、学校の朝礼中に急に気を失う人が出るとかいうのがこれです。特に、朝に自律神経が乱れる人が多いためです。

 血が下がることは、朝だけでなく、夜の歓楽街でも起こりえます。飲みすぎてつぶれた、という話ではありません。1次会ないし2次会の最中に起こる現象です。

 一つは、男性のトイレで起こります。人にはもともと、膀胱血圧反射というものがあり、膀胱におしっこが貯まって張ってくると、血圧が上がり気味になるというものです。1次会でたくさんビールを飲み干すと、ビールの量とアルコールの作用により、おしっこがたくさん生じます。

 なので、トイレに行くころには、膀胱はパンパンで、血圧はかなり上がっていると考えられます。ここで、トイレで立小便。膀胱は急激に小さくなり、リバウンドで血圧は急激に低くなります。立っていて心臓より頭が高いので、一気に脳に血液が届かなくなります。

 そして、失神して転倒。大けがの恐れさえあるのです。アルコールのために自律神経のバランスが狂っているので、リバウンドが起こりやすくなると考えられます。ビールのジョッキを飲み干すのは、いい加減にした方が得策です。

 もう一つは、アルコール性低血糖です。アルコールは肝臓から糖分が放出されるのを抑える働きがあります。そこで、2次会あたりで、食べ物を食べずにお酒だけ飲み続けていると、急に血糖が下がることがあります。低血糖は脳のはたらきを低下させるので、本人の感覚は「血が下がった」ということになります。一気に冷汗が出てくるのがサインです。糖尿病で治療薬を使われている人は特に危険性が高いと考えられます。2次会もおつまみを忘れずに。

 年末に盛り場で起きやすい事故です。お気をつけて。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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