穀物輸入の拠点が「船出」 釧路港の国際バルク港湾が完成

2018年11月27日 12時00分

■釧路港の発展に期待 物流ターミナルの完成祝う

 釧路開建と釧路市、釧路西港開発埠頭は23日、釧路市観光国際交流センターで国際バルク戦略港湾である釧路港国際物流ターミナルの完成式を開いた。全国10港ある国際バルク戦略港湾のうち、飼料穀物を取り扱う釧路は全国初の完成。大型船で大量一括輸送ができる穀物輸入の一大拠点の「船出」をテープカットなどで祝った。

関係者らがテープカットし完成を祝った

 バルクとは、梱包(こんぽう)せず直接船に積み込むばら積み貨物のことで、大型船が接岸できるよう2014年度から整備を進めてきた。

 釧路開建は水深12mだった西港区第2ふ頭にマイナス14m岸壁を300m新設し、航路や泊地の浚渫を担当。免震装置を備えたアンローダー(荷役機械)は港湾管理者の地元釧路市と港湾利用事業者などで組織する第三セクターの釧路西港開発埠頭が整備。総事業費約182億円を投じた。

 完成式で蝦名大也釧路市長は「バルク港として全国で初めて完成し、物流コストの低減など釧路のみならず全国へと波及するもの」と釧路港の発展に期待を寄せた。

 来賓の太田昭宏前国土交通相は「世界の物流が変化する中、がっちりと受け止める港湾ができた。そして道路をもっと東に、北東に延びれば違うことになる」と港の完成で高規格の道路延伸に尽力する考えを示した。

■西港区第2ふ頭でコンベヤー新設進む サイロ増設や新工場も

 23日に完成したバルク港湾の釧路港西港区第2ふ頭。その背後地では飼料の貯蔵庫や工場の整備が急ピッチで進められている。

架台の設置が順調に進んでいる

 既存の飼料メーカー4社が立地する中、新規参入の中部飼料が来夏の稼働を目指して工場を新築中。釧根管内の飼料工場を顧客に持つ三ッ輪運輸(本社・釧路市)はサイロ17基(約1万2000㌧分)を増設し、サイロと工場を結ぶ791mのベルトコンベヤーも新設している。

 11月中旬、夜間、煌々(こうこう)と照らし出された現場にエンジン音を響かせ、130㌧のクレーン車2台がやってくる。コンベヤーは資材を組み立て、架設を16回繰り返して完成させる。この晩は長さ48mの架台3本目をつなぎ合わせる作業中だった。

 監督員や作業員らが作業前の打ち合わせを済ませて配置に就くと、クレーンが架台をゆっくりとつり上げた。支柱の先端で作業員が順にボルトを締め付けていく。

 作業用のライトに照らし出された架台は光を浴びて輝き、釧路港の新たな時代への架け橋のように見えた。


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