IR優先候補地に苫小牧 道が見解 誘致判断時期明言せず

2018年11月27日 07時00分

 道は26日、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)について「誘致する場合、苫小牧市を優先候補地とすることが妥当」という見解を示した。有識者懇談会での意見などを踏まえて判断したもの。「IRに関する基本的な考え方(たたき台)」として取りまとめ、道議会の食と観光対策特別委員会に説明した。IR誘致の是非についての判断時期は明言しなかった。道内では苫小牧市のほか、釧路市と留寿都村が誘致を表明しているが、アクセス性や経済効果の面からも苫小牧市が有利とされていた。

 道では、IRを誘致する場合に想定される諸課題への対応方向を整理するため基本的な考え方をまとめた。今後、これをベースに検討を深める考えで、地域説明会などで道民から意見を聞くことも想定している。

 基本的な考え方では、候補地について①日本型IRに求められる要件を満たし②IR事業者の関心度が高く③北海道にふさわしいIRが実現できる可能性がより高い区域―の3つを着眼点とした。

 苫小牧市については、新千歳空港から陸路で10―15分とアクセス面で他の道内候補地より優位に立ち、道などによる需要予測でもIR売上高は年間1562億円、税収効果は234億円と最高だった。開業投資額は2800億―3800億円が見込まれる。IR事業者の関心度も苫小牧市が最も高く、道への事業提案は8社から、市が実施した投資意向調査でも15社から提案があった。

 北海道にふさわしいIR機能・施設という点では、3市町とも実現の可能性があるとみられているが、苫小牧市はMICE施設について3万―5万m²の展示場や5000人規模の国際会議場が整備可能と提示。宿泊施設は1000―2000室を想定し、新千歳空港を活用して道内外への送客を推進して波及効果を生み出すことを提案している。

 有識者懇談会では、国内他地域との競争力という面で苫小牧市が有利で、事業用地も民間企業が市への譲渡を検討していることから準備が進んでいると判断。震災復興という視点も加えて、道では苫小牧市を優先候補地とする考えに至った。

 基本的な考え方では、ギャンブル依存症など社会的影響を最小化することで、北海道観光の発展に貢献する可能性についても言及。北海道の優位性を生かすことによる観光客の飛躍的増加、新たな雇用創出、IR拠点の広域周遊の実現などをIR誘致の効果に上げた。


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