JR旭川駅前から宗谷岬までの約315㌔区間。この長距離移動の行程を観光にしようとする試みが、シーニックバイウェイ北海道推進協議会(岩田圭剛会長)の2017年度ベストシーニックバイウェイズプロジェクト・魅力ある観光空間づくり部門賞に輝いた。天塩川シーニックバイウェイと宗谷シーニックバイウェイが「きた北海道エコ・モビリティ」として取り組んでいるもので、地域の特性を生かし、ストレスなく楽しめる快適な旅を提供することを目指している。
■新しい旅のスタイル提案
両団体は国道と天塩川、JR宗谷本線を利用して旭川駅から宗谷岬を目指す3日間の道中を自転車やカヌー、フットパスを組み合わせ、移動そのものが観光となる新しい旅のスタイルを提案。体験型観光と個人旅行のニーズを織り込み、1次交通の衰退や2次交通の脆弱(ぜいじゃく)さを逆手に取った。
スローな移動手段とすることで、地域の周遊性が高まり、滞在時間の増加が図られるため、地域全体の活性化や経済効果も期待できるという。
また、移動手段にはJRで自転車を運ぶ輪行も取り入れ、ヤマト運輸による手荷物当日配送を利用した手ぶら観光、地場産木材を使ったサイクルラック設置による休憩施設充実にも取り組んだ。
天塩川シーニックバイウェイ副会長でなよろ観光まちづくり協会理事長も務める栗原智博昭和産業(名寄)社長と同協会の畑中覚是事務局長は、今後の活動について「JRの活用を一層高めたり、自転車やカヌーと公共交通機関との連携を充実させて息の長い活動にしていきたい」と意欲的に語っている。