不動産業のヒューリック(本社・東京)が、札幌駅前通の中央区北3条西3丁目に保有するヒューリック札幌ビルと、隣にあるヒューリックNORTH33ビルの一体開発を計画している。オフィスやホテル、店舗などが入る複合型施設とする考え。2棟のビルが隣り合う利便性を生かし、入居者を移しながら1棟ずつ建て替えを進め、最後は一つのビルとして完成させる手法を検討している。事業着手は2021年以降になるようだ。
20年に開催する東京五輪後の大型開発事業に位置付けた。ヒューリック札幌ビルは、1966年にSRC造、地下2地上9階、延べ1万4252m²で竣工。06年に耐震補強を実施したが老朽化が進み、同社は建て替え時期をうかがっていた。南側に隣接するヒューリックNORTH33ビルは、改築のため17年からテナント転居を進めている。
新ビルの概要は未定とするが、オフィスやホテルをはじめ、みずほ銀行札幌支店などが入る施設を構想する。札幌駅に近い好立地であることから、グレードの高いホテル誘致を視野に入れている。このため、札幌市が19年4月の運用開始を目標としている、容積率の緩和を念頭に再開発計画を練っていく構えだ。
ヒューリックNORTH33ビルを先行して解体、改築を進め、新たな施設にヒューリック札幌ビルの入居者を移してから、ヒューリック札幌ビルの改築に入り、最後は一つのビルとして完成させる案が浮上。着工時期は、札幌以外にも東京や大阪、福岡でも大型開発があるため優先順位を勘案すると、早くても2021年ごろになるとみている。
札幌駅前通では、札幌大同生命ビルの建て替えが進むほか、ヨドバシカメラなど民間地権者が保有する北4西3街区の再開発計画も構想に上がっている。道内のインバウンド観光客の増加やオフィスの空室率低下を背景に、今後、札幌駅前の不動産投資熱が高まっていく。