「屋根型林道」普及へ 北見工大模擬実験スタート

2018年12月01日 18時00分

 北見工大のオホーツク農林水産工学連携研究推進センターの副センター長である川口貴之准教授は28日、旧北見競馬場跡地にある同大オホーツク地域創生研究パークで欧州型の屋根型林道を道内に普及させるため、学生とともに完成した模擬林道で実験を開始した。路線の中央を三角屋根のように盛り土する模擬林道での実験は日本で初めてとなる。

■中央を三角盛り土、水はけ良く

 同センターは、ことし7月に設立。担い手不足などに悩む道内1次産業の課題解決に向け、産学官が手を取り合いICT化やロボット化に向けた研究に取り組んでいる。

 屋根型林道は、路線中央部から敷き詰めた砂利が左右に10%ずつ勾配している道路。欧州では一般的だが、日本は標準仕様ではなく、国内には本道の鶴居村をはじめ、岐阜、長崎、鳥取県で導入事例があるのみ。

 日本のフラット型林道に比べ中央部が盛り上がっていることから、雨水が左右に流れるため水はけが良く維持管理が容易になる。車両の通行もスムーズになり効率的な森林施業が期待できる。

 川口准教授は昨年から、国内で初めて屋根型林道を整備した鶴居村で含水率の調査を進めている。普及に向け、屋根型林道のメリットを数値として算出するためだ。

 模擬林道は、屋根型とフラット型の2コースを整備した。延長はともに30mで、幅員は一般的な規格である4mを確保した。川口准教授は「屋根型林道の良さを知ってもらえるきっかけになってほしい。山に手を掛けることは防災にもつながる」と期待を込める。美幌貨物自動車(美幌)が2週間かけ施工した。

散水機で水はけの違いを調査する

 実験は散水機で水をまいた上で、屋根型とフラット型の下に埋め込まれたセンサーで含水率を比較する。屋根型では車両走行部に路盤の補強効果がある高密度ポリエチレン製のジオセルを設置したパターン、フラット型では雨で道路が削られる雨裂防止にジオセルを埋設したパターンの検証も進める。

 実験に参加した社会環境工学科4年の館林雅治さんは「実験は気候に左右される。含水率が高くなる春先にどのような結果が出るか注目している」と話している。

 屋根型林道を所有管理する鶴居村を含む全国4自治体は昨年、屋根型みちづくり協議会を設立。全国での普及を図る一環として、2019年には会員が来道し、鶴居村や北見工大の模擬林道を視察し意見交換する。


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