建設産業の担い手不足は深刻で、今や人材の確保・育成は企業経営の重要な課題に位置付けられる。一方で就職する側の若者を取り巻く環境は変わりつつある。慢性的な人手不足が引き起こす人材の超売り手市場化、「働き方改革」の推進による就労環境の変化、過酷な労働環境下で働かすブラック企業の台頭。そうした中、今の若者は「働く」ことに何を求めているのか。北海道建設新聞社が道立帯広高等技術専門学院に依頼して実施したアンケートから人材確保対策のヒントを探る。(帯広支社・太田 優駿記者)
週休2日と手取り17万円を
調査は2018年11月に実施。仕事探しの条件や働くことに対するイメージ、ブラック企業観をテーマに電気工学、金属加工、自動車整備、建築技術、造形デザイン全5学科の1、2年生133人から回答を得た。
■「休日」や「給料」 「職場環境」重視
仕事選びで最も重視する部分を聞くと、最多は22%を占めた「休日」となり、21.2%で「給料」と「職場環境」が並び、19.7%の「仕事内容」が続いた。学科別で見ると建築技術科は「給料」が9人、金属加工科では「職場環境」が7人、電気工学科では「仕事内容」が11人で最も多かった。
休日では自身にとって理想的な取り方を聞いた。トップは「土日祝日」の60.2%だった。続いて「曜日に関わらず週2日」が16.5%、「土日の週2日」が13.5%となり、週休2日の項目だけで90.2%まで達した。
また,週休2日制の有無が仕事選びに影響するかという問いでは78.2%が「影響する」と回答。同質問は17年7月に帯広工高環境土木科の生徒118人にもアンケートし、83.1%が「影響する」と答えている。
給料では自身の生活に最低限必要と考える手取り金額を調査。最多は「月17万円」の29.5%で近似値に回答が集中した。月14万―20万円では81%と大多数を占めるが、月11万円以下は0.8%と最少だった。
帯広公共職業安定所が公表する18年3月卒の新規高卒者初任給情報によると、管内平均は16万9000円。手取り額は、これから税金や保険料などが引かれる。手取り17万円の確保を一つの目安として捉えることができそうだ。
■サービス残業は 「断りたい」6割
残業では終業後にどれくらい働くかを手当の有無別に調査。残業代有りの場合は「2時間未満」が最多の36.1%だった。1―3時間未満では72.2%に達し、「何時間でも」という回答も21.1%まで伸びた。
一方で残業代なしの場合は「断りたい」が58.3%を占めた。残業代有りで最多だった「2時間未満」は7.6%まで落ち込み「何時間でも」は3%にとどまった。
また、自由回答でブラック企業のイメージを聞くと「サービス残業の常態化」「手当の出ない無意味な残業を強いられる」などの記述が目立った。
若者は残業そのものを敬遠している訳ではない。要は時間に応じた手当が出るかどうか。給料に残業代を一定額含む「みなし残業」は学生の約7割が否定的に見ているだけに、自社の残業形態を見直すことも必要となりそうだ。