職場の人間関係を重視する
北海道建設新聞社は2017年1月に北海道土木技術会建設マネジメント研究委員会建設経営小委員会の委託で、北海道建設業協会の会員598社にアンケートを実施した。「若手技術者の離職理由」では「長時間労働、休みが取りにくい」が53%を占め、「作業環境が厳しい」32.5%、「収入が低い」15.9%が続く結果となった。
今回は若者の本音として道立帯広高等技術専門学院生に「若者の離職理由として納得できるもの」を9つの選択肢から最大3つまで選んでもらった。結果は「収入が低い」が62.1%で最多となり、2位は道建協のアンケートで15.2%だった「職場の人間関係が悪い」が60.6%を占めた。
■温かい雰囲気で気軽に話したい
「職場の人間関係」での悩みは、離職理由以外の設問でも高い割合を示した。仕事選びで最も重視する条件では「休日」「給料」と並んで20%台を超えた。転職を考える条件を聞いた設問では「ずっと同じ職場で働きたい」の32.3%に次いで「人間関係が悪ければ転職する」が19.5%と多く、「仕事が合わなければ転職する」の17.3%よりも高い結果となった。
さらに、どのような人間関係が望ましいかについても聞いた。「先輩から懇切丁寧に指導してもらえる」「目標に向かって全員で頑張れる」「プライベートまで相談できる」といった選択肢が10%台にとどまった一方、「上司・同僚と気兼ねなく話せる」が65.4%と大きく上回った。
この結果を同学院の水堀武彦訓練管理課長は「学生は温かい雰囲気の職場を好み、上下関係がある中でも気軽に話せる関係を求めているように感じる」とみている。
こうした傾向から円滑なコミュニケーションが取れる職場づくりが若手社員の確保や離職対策として大きな意味を持つ。
■インターン経験 就職に直結する
仕事の勤務地では「十勝管内」を希望する学生が78.2%を占めた。仕事選びで参考にするものを複数回答で聞くと「学校の求人票」が63.9%でトップ。2位は「企業で働く先輩の声」の44.4%、3位は「先生の意見」の37.6%だった。
この結果に南部明学院長は「当校に来ること自体、地元で働く志向が強い。修了生の9割が十勝管内で働いている」と納得していた。
また、インターンシップと就職が直結するケースが多いと感じている。「半数はインターンで行った企業に入る。ことしは住宅関係会社に建築技術科の学生1人が出向いたが、そこでの体験が口コミで広まり、その会社には4人が応募した」と話す。同社は完全週休2日制で建築大工の道具を会社で貸すなど福利厚生も手厚かった。
求人票だけでは得られない職場環境などの情報もインターンシップを通して知ることができる。「1日で終わるインターンはほぼなく、半月以上を通して他の従業員と作業するので仕事に直結する。そこで働きやすさを感じたら応募する学生は多い」という。