大樹町は、町多目的航空公園の滑走路延伸と新設、インターステラテクノロジズ(IST、本社・大樹)の実験場拡張を検討している。施設整備の規模や時期は未定だが、射場誘致や宇宙船発着基地である「宇宙港」の構想実現に向けた拡張を進める考えだ。
同町では宇宙のまちづくり推進に向け、地方創生推進交付金を活用して観光振興戦略策定やテレワークを使った地域活性化などを調査してきた。このうち日本工営に委託した「町多目的航空公園を活用した地域活性化方策・施設整備検討調査・環境影響評価の実施」では関係団体や企業も交えて射場の在り方を検討してきた。
構想は11月に札幌市内でNPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)やISTなど11企業・関係機関で構成する団体が開いた会合で町が示したもの。
浜大樹にあるISTの実験場は敷地面積約7000m²ある防衛省の試験場跡地。現在は町有地で同社が借りているが、目標とする人工衛星打ち上げ用ロケットの開発と商業化には手狭だった。
整備は2段階に分け、第1段階は実験場南部を拡張し、組み立て棟の建設を想定。第2段階はISTの実験状況や宇宙関連企業の動向を踏まえて射場の整備に取り掛かる構えだ。時期は未定だが同社は2020年ごろに人工衛星を搭載したロケット「ZERO(ゼロ)」の打ち上げを目指しており、開発に合わせた施設整備が必要になる。
町多目的航空公園にある1000mの滑走路は宇宙航空研究開発機構(JAXA)のさらなる研究に活用できるよう300m延伸する。また宇宙港としての機能充実を図るため長さ3000mの滑走路を新設する考えで、適地の選定や周辺の環境調査を進めている。
町の担当者は「構想は描き始めたばかりで考え方を示したまで。時期はISTの今後の実験状況にもよる」と話した。