道は11日、札幌グランドホテルで民族共生象徴空間開設500日前カウントダウンセレモニーを開いた。象徴空間の愛称を「ウポポイ」とすることや、象徴空間と国立アイヌ民族博物館のロゴマークを発表。参加者220人を前に高橋はるみ知事らが機運醸成を図った。
象徴空間はアイヌ文化の復興などを紹介するナショナルセンターで、白老町に2020年4月24日に開設予定。国立アイヌ民族博物館、アイヌ文化の体験交流ホールや体験学習館などの整備が進んでいる。
セレモニーの冒頭、高橋知事は「国内外の方々にアイヌ文化に触れてもらい、共生社会の実現に向けて取り組む」と強調。象徴空間開設に向けた機運の醸成に意欲を示した。
内閣官房アイヌ総合政策室の橋本元秀室長は、年間来訪者100万人を目指すとし、「象徴空間は国家的プロジェクト。国としてしっかり準備する」と話した。北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は、象徴空間を通じて多様性を認め合い寛容な精神が培われることに期待を寄せた。
国土交通省と文化庁が候補作品を募っていた象徴空間の愛称はウポポイに決定。アイヌ語で(大勢で)歌うことを意味し、投票総数の約4割を獲得した。併せて、象徴空間とアイヌ民族博物館のロゴマークも披露された。
■整備進む地元でもカウントダウンイベント
白老町内で整備が進む「民族共生象徴空間」開設まで500日前となった11日、カウントダウンイベントが札幌市や室蘭市、白老町でそれぞれ開催された。白老町中央公民館でのイベントには、関係者や町民ら約500人が参加。ムックリの演奏や古式舞踊などで会場は盛り上がり、開設への期待を高めた。象徴空間の愛称やロゴマークも発表され、愛称は、アイヌ語で大勢で歌うことを意味する「ウポポイ」に決まった。
象徴空間は、アイヌ文化復興の拠点となり、先住民族の尊厳を大切にし、国内外に類いまれな歴史と文化を発信して、新たなアイヌ文化の創造と発展に寄与するのが目的。
国立アイヌ民族博物館や民族共生公園、慰霊施設などで構成する。ことし5月に着工した国立アイヌ民族博物館は11月30日現在で進ちょく率44%となった。
会場では、来場者にアイヌ伝統料理「オハウ」が振る舞われ、白老町観光大使のミトカツユキさんのライブ、公益財団法人アイヌ民族文化財団の職員によるムックリの演奏と古式舞踊、白老町観光大使でゴスペル歌手のKiKiさんの演奏が披露された。
戸田安彦白老町長は「象徴空間開設へ機運の醸成を図り、イベントを盛り上げたい。町民の皆さまも自分たちでできるおもてなしを考えてほしい」とあいさつ。
来賓を代表して、阿部啓二副知事、神戸典臣道議、梶本洋之内閣官房アイヌ総合政策室北海道分室長、山本浩平町議会議長が祝辞を述べた。
開設までのカウントダウンボード披露で、戸田町長らが除幕式をした後、ミトカツユキさんとKiKiさんらが合唱した。ボードは役場庁舎玄関に設置する。
ロゴマークは、愛称の「ウポポイ」に、ポロト湖周辺の自然景観とアイヌの男性が身に付ける儀礼用の太刀を下げるための帯(エムシアッ)の文様をイメージした。
役場庁舎では屋上にサーチライトを設置し、16日まで5本のライトが夜空を照らす。開設までは毎日午後0時35分からイランカラプテのイメージソングが町内に流れる。