重大NEWS2018 (2)市立釧路総合病院

2018年12月18日 12時00分

新棟実施設計の契約解除

 2021年9月の供用に向け、基礎免震工法を採用したS造、地下1地上10階塔屋2階、延べ3万8859m²の施設をことし9月に着工―。

 こう想定していた釧路市の市立釧路総合病院新棟建設が、大きく見直される事態となった。実施設計がことし3月の納期から大幅に遅れ、事業費が合意額を67億円も上回ることが判明したとして、市が5月2日付で契約解除したためだ。

 市は17年4月25日に支払った委託料のうち供用済みの同病院立体駐車場増設実施設計分を除く6011万1636円と同6月23日に支払った4400万円などの返還を求め、7月30日付で釧路地裁に提訴した。

新棟建設問題に揺れる市立釧路総合病院

 これに対し設計業務を担った共同体代表の共同建築設計事務所(本社・東京)は6月に釧路市内で記者会見し、市側からの度重なるプラン変更要請と土壇場での調整率変更などが遅延や事業費増大の要因で契約解除は不当と主張。第2回口頭弁論が開かれた11月26日に、委託料未払い分1億277万2000円などの支払いを求め反訴状を釧路地裁に提起している。

 「先に受託者側が納品した立体駐車場の設計図書は道建設部営繕工事積算要領に沿って積算されており、北海道基準の採用を了承していた」「提示された平面プランに必要な機器類が収まりきっていなかった」(市側)、「契約締結時に基本計画が未完成で、追加変更指示が納期直前まで相次いだ」「地域性を考慮した調整率に基づく積算書も提出するよう指示されたが、具体的な数値は示されなかった」(共同体側)など、2回の口頭弁論を経ても双方の主張は平行線。19年1月31日からは非公開の弁論準備手続で争点を整理していくが、長期化は避けられない。

■建設時期や規模、不明確に

 一連の業務は、基本設計と実施設計を一括して15年度に公募型プロポーザル方式を用いて発注した。基本設計は受納済みで今回の返還対象にも含まれていないが、事業費を大幅に縮減するには基本設計から発注し直す必要がある。

 ただ、今後の整備スケジュールや再発注に向けた新棟の規模や方向性などは、いまだ明確なものが示されていない。直近の定例市議会でも津田学市立釧路総合病院事務部長が「庁内関係部署とも連携を図りながら、院長を中心に機能や規模などについて院内協議を進めている。できるだけ早期を目標に、しっかり検討していく」と述べるにとどまった。

 一方、蝦名大也市長が6月に「同病院は釧根管内の地方センター病院であり、高度急性期医療の機能を確保していくためには新棟建設が不可欠」と表明したように、道東圏域で暮らす人々の命を守る上で新棟建設が先送りできない課題であることは確か。早急な意思決定が望まれる。


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