篠路駅東口駅前広場の在り方検討会議(会長・小沢丈夫北大大学院工学研究院教授)は18日、駅前広場の在り方に関する提言書を札幌市に提出した。地域資産とする篠路高見倉庫(本社・北区)の軟石倉庫3棟の存続を図るため、駅前広場位置の変更を求めている。
篠路駅周辺地区では、線路による東西分断や横新道の交通混雑といった課題解決に鉄道高架化、土地区画整理、周辺道路整備の3事業を計画。
土地区画整理事業では駅東側4・4haを対象に、街区公園や約3700m²の駅前広場、宅地整備を予定。年度内に事業認可を経て、2019年度に換地計画策定、20年度に仮換地指定、21年度の工事着手、27年度の完了を見込む。
ことし1月に3事業に関し都市計画決定を受け、駅前広場の位置は道路区域として篠路駅東通とともに現位置で設定した。ただ、縦覧では駅前広場の整備範囲に入る軟石倉庫の存続や、ロータリーなどに関する意見が寄せられたため、市は配置について地域と検討する考えを都市計画審議会に伝えていた。
これを踏まえ、6月に町内会などの地域住民と有識者で構成する検討会議を設置。5回の検討を重ね、提言書をまとめた。
提言では、駅前広場の在り方には多様な交通機関の利用を見据え、都市計画決定時と同等の交通結節機能確保が望ましいと説明。バスとタクシー各2台、障害者用と自家用各1台の乗降スペース、滞留機能を備え歩道幅員に余裕がある歩行空間、車両の回転半径などを考慮した面積や形状を有する交通空間などを挙げた。
一方、北海道遺産の札幌軟石を用い、建設から50年以上が経過して駅前のシンボル的存在の軟石倉庫の重要性を強調。さらに19年中ごろまでに都市計画変更を受ければ、土地区画整理事業のスケジュールに大きな影響を与えない見込みのため、整備範囲から倉庫が外れる南側に位置を変更し、駅前広場を整備することがふさわしいと求めた。
このほか、駅前のJR所有の松の木も地域資産として存続を求めることや、篠路出張所へのアクセス確保といった付帯意見を盛り込んだ。軟石倉庫に関しては、将来的に使用をやめる場合、活用の在り方や資金的課題などは地域住民で検討し、行動する方針を示した。
市庁舎で開いた手交式で、小沢会長は「提言は地域住民で長く共有していこうと確認している。市もぜひ受け止めてほしい」と要請。副会長の井形信広篠路地区街づくり促進委員会長は「子どもたちが篠路に住んで良かったといわれるまちづくりに力を尽くしたい」と呼び掛けた。
中田雅幸都市計画担当局長は「駅前広場はまちづくりの中心となる場所。地域の思いを実現できるようスピード感を持って検討を進める」と答えた。