右も左も、見渡す限り草原と低木が広がっている。ここは日本最大の湿原として名高い北海道・釧路湿原の東端だ。道路から、湿原の手前に小さな木造校舎のような建物が浮かんで見える。近づいてみると、鉄筋コンクリート造の水門の上屋だった―。
このような書き出しで、釧路町内にある岩保木水門を紹介しているのは、釧路市建設事業協会に招かれ、ことし8月に釧路で講演したフリーライターの三上美絵さん。建設業振興基金の機関誌「建設業しんこう」で連載している「かわいい土木」の16回目で取り上げた。
記事には釧路川下流の釧路市街地を洪水から守るために新釧路川を掘削し分岐点にこの水門を設けたこと、しかし新水路完成後は釧路川の水位が低下し船の航行ができなくなり水門は閉じられたままとなったこと、1985年の新水門完成で役割を終えたこと、今では夕日の絶景ポイントとなっていることなどがつづられている。
8月の講演で釧路を訪れた際にこの水門を取材したという三上さんは「広大な景色の中にぽつんと木造の上屋が見えたのが印象的だった」と振り返り、実際に使用されることはなかったものの「釧路市の発展に大きく寄与した新釧路川開発事業のモニュメントと位置付け、観光資源化すると良いのでは」とも提案している。
記事は10月号に掲載されたが、ウェブサイトの「しんこうWeb」でも読むことができる。(釧路)