”常温常圧”の水素を”地産都消” 地方創生の切り札に

2019年01月09日 12時00分

 気体の水素を常温常圧の液体に換え、ガソリンや灯油と同様、安全に輸送・貯蔵できる技術を持つフレイン・エナジー(本社・札幌)。小池田章社長は、その技術が都市と地方を結ぶ橋渡し役を担い、結果として地方創生の切り札となる〝地産都消〟が実現すると説く。

 フレイン・エナジー社について―。

 2001年に作ったエネルギーのベンチャー会社。気体の水素を約500分の1の液体に変換する「有機ハイドライド技術」で強みを持つ。現在は苫前町でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などと共に、再生可能エネルギーの電力を水素に転換利用する研究を進めている。

 もともとは、電力会社向け産業装置の電制(本社・江別)の新規事業として1999年から取り組み、北里大の田口文章教授に協力してもらいながら、水素の製造(発酵)技術を共同研究した。水素の貯蔵技術は、北大触媒化学研究センターに在籍していた市川勝教授に指導してもらった。

 水素エネルギーの地産地消による地域活性化を唱えているが―。

 われわれが水素に関心を持ったのは、全道に風力発電が広がったため。北海道は再生可能エネルギーの賦存量が期待でき、「道内に水素エネルギーの会社があってもいいのでは」という考えが起点だった。

 電力会社向けに仕事をしていた関係もあり、電気側からみると〝水素はエネルギーの蓄え方〟という発想だった。水素と電気は上手に組み合わせることで地産地消になじみやすい。

 北海道は石炭で栄えた。資源をお金に換えている時代は豊かだった。しかし、近年は資源(石油や天然ガス)を買う時代になり、衰退している。水素なら石炭のように経済循環が可能になる。

 再生可能エネルギーで作った電気は地域内の地産地消に収まってしまうが、水素に換えればエネルギーを貯めたり、域外に資源として売ることができる。

 売るものが無かったり人が集まってこないと、地方経済は難しい。地方で作り、都市で使う〝地産都消〟を考えてほしい。

 北海道胆振東部地震を通し、市場環境は変化しているか―。

 胆振東部地震によるブラックアウトを契機に自立分散型電源が注目された。だからこそ、水素エネルギーを地産地消による「点」ではなく、地産都消の「面」から捉え、自立型電源としての価値があることも考えてほしい。

 札幌は消費地のため、低炭素社会を実現するのは難しい。しかし、稚内や苫前など再生可能エネルギーを作ったり水素を供給できる地域と結び付けば、低炭素社会は成り立つ。エネルギーの消費地と生産地を結ぶ地域間の連携があってもいいと思う。

 地方の場合、エネルギー転換は既存の地元事業者との兼ね合いも出てくるが、水素は既存の灯油販売店でもタンクローリーで扱えるので、地元企業が仕事を失うことはない。

 地方は再生可能エネルギーが豊富なので、地方から水素エネルギーの動きが高まればと思う。

 将来、どういう会社でありたいか―。

 パソコン本体を作る会社ではなく、インテルのようにCPU(中央演算処理装置)を担う会社になりたい。だから反応器という特殊な触媒を開発している。触媒だけでは水素ステーションや車はできず、ハードとパッケージ化することで、いろいろなものに変わっていくだろうという考え方だ。

 ずっと北海道で開発を続け、極端に地元の会社になりたいという思いもある。水素市場が他国にできれば、その国の企業と一緒にものづくりしたり、触媒を供給していくというスタイル。水素エネルギーは地域間を面で利用することが重要になるので、拠点を本州や外国に置く必要はない。北海道や地方の将来を考えながら、有機的なプラトーン(小隊)の仲間を増やしていければと思っている。

 こいけだ・あきら=1965年10月11日生まれ、札幌市出身。父・克弘氏が起こした会社を継ぎ、2002年に電制(本社・江別)の社長に就いた。08年に社内ベンチャーだったフレイン・エナジーの経営に専念し、水素事業に特化。有機ハイドライドを利用した水素の貯蔵・供給装置の開発や販売を手掛ける。


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