函館財務事務所が1992年から調査を開始した道南経済レポートが、7―9月期で第100号を迎えた。これに合わせて1、50号と対比し、大型小売店の売上高や乗用車販売台数の減少が顕著なことを紹介。観光では東日本大震災以降、海外線利用客が増え、インバウンド獲得の重要度が増しているとした。
道南地域は92年、バブル崩壊の影響を受け、函館市の地価下落率が全道一となり、イカ豊漁で魚価安が続き、水揚げ額が低調だった。50号発行の2006年は、住宅ローン金利の先高を意識した駆け込み需要で住宅投資が好調な一方、大雪で天候に恵まれない年だった。
そんな中、大型小売店の売上高は92年が1025億円、06年が770億円、17年が335億円と低迷。西武、さいか、和光といったデパートが閉店していることが影響している。乗用車販売台数は函館市内の人口が25年間で約4万4000人減っていることなどから約15%落ち込んだ。
観光に着目すると、92年は全国的な北海道観光ブームで函館圏入り込み客数も272万人を突破したが、06年、17年は210万人台にとどまった。その間、北海道新幹線の開業やLCC就航、フェリー大型化などが進んでいる。
最近では航空機の海外線利用割合が増加。航空機は11年を底に回復傾向が続き、アジア圏を中心にインバウンド需要が高まっている。函館市内で宿泊施設の新築も活発化しており、海外観光客誘致の継続的な取り組みが地域を活性化させるポイントになるとみている。(函館)