小樽市は、重要文化財旧日本郵船小樽支店大規模改修を、今月下旬にも建築の共同体を対象に指名する。耐震工法は、引張補強材(アラミドロッド)を用いた工法を採用。トラス構造の屋根ふき替え、外壁の擬石張り替え、天井・内壁のクロス更新も実施する。工期に36カ月を見込み、2018―21年度の継続費に総額6億466万円を設定した。
色内3丁目7の8にある旧日本郵船小樽支店は、1906(明治39)年に完成した近世ヨーロッパ復興様式の純石造建築物。規模は2階建て、延べ964m²。外壁に小樽軟石、腰・胴蛇腹・軒部分に登別産中硬石を使用。内部はしっくいを厚く塗り、窓は木製サッシの二重窓で、外側はアメリカ製シャッターを備える。
55年に市が日本郵船から譲り受け、78―87年に大規模修繕するなど、保存に努めてきたが、完成後100年以上の時が経過していることから、213―14年度の調査結果を受けて、長期保存に向けて耐震性の確保が必要と判断した。
実施設計は文化財建造物保存技術協会。外観への影響を考慮し、耐震補強は柱や壁にアラミドロッドを垂直に挿入する工法を採用する。2月の仮契約、3月の市議会後に本契約を結び、4月から1年半にわたって耐震補強を実施。残り1年半は内外装工事に取り掛かり、21年3月のリニューアルオープンを目指す。
継続費の年度別設定額は、18年度が1740万円、19年度が1億4684万円、20年度が2億6423万円、21年度が1億7619万円となっている。