旧河川の蛇行復元し自然を再生へ 釧路湿原のヌマオロ川

2019年01月17日 15時00分

 釧路開建は、標茶町内の釧路湿原自然再生事業ヌマオロ地区旧川復元について2019年度冬季の着工を計画している。直轄明渠排水として整備され直線化した河川約1・6㌔を埋め戻し、現河道左右岸に残る蛇行した旧河川約2・1㌔を復元することで湿原植生や魚類の生息場の回復を目指す。総事業費には約10億円を試算。19年度は工事用道路の着手を予定している。

 同開建の自然再生事業は、01年の釧路湿原の河川環境保全に関する提言で旧河川復元の対象となった5河川(釧路川茅沼地区、オソベツ川、幌呂川、雪裡川、ヌマオロ川)のうち、釧路川茅沼地区を先行させ、07年2月から試験を兼ねて旧河川復旧工事に着手し、11年に完了した。

 その後の検討で残り4河川のうち、ヌマオロ川が土砂流出量が最も多く旧河川復元効果が最も大きいとして実施地区に選定。14年から調査検討をやモニタリングを進めた。

 同地区は釧路川河口から30㌔付近で釧路川に合流している標茶町内のヌマオロ川湿原流入部。ヌマオロ川流域では1895年に植民区画され1917年に沼幌地区に入植が増加。開拓当初の度重なる冷・水害の発生で不安定な畑作から酪農業に変遷した。

 70年には道営農地開発事業によって農地が造成された。73―82年には直轄明渠排水事業が進められ、沼幌幹線排水路として直線河道に改良されている。整備から30年を経て直線化した河道周辺は、湿原中心部への土砂流出の増加、河川水位の低下による湿原植生のヨシ群落が減少し、ハンノキ林に変化。さらに、河道環境の単調化や水深が浅くなり、魚類の良好な生息場が減少するといった状況になっている。

 これらの課題を解決しながら自然を再生する具体的な目標として、土砂流出負荷軽減や湿原植生の再生、ヌマオロ川本来の魚類など生息環境の復元、湿原景観の再現を挙げている。

 目標達成の実施手法は、旧河川の復元と直線河道の埋め戻し、河岸残土の撤去となっている。旧河川復元の対象区間は釧路川本川合流点の約4・6㌔上流地点から6・3㌔地点までの現河道左右岸に残る延長約2・1㌔の旧河川。

 直線河道の埋め戻し対象区間は同じく合流点4・6㌔上流地点から6・2㌔地点までの延長約1・6㌔。河岸残土撤去は同5・1㌔上流地点から6・3㌔地点までの直線河道左右岸が対象となっている。

 この事業は自然再生を目標とすることから、自然環境への配慮事項を設定。工事用道路予定箇所や旧河川など、工事による直接改変地の生息・生育環境の事前調査やその影響を最小限にとどめることとした。

 同開建は17年度に実施計画を策定し、事前調査を進めてきた。19年度は旧河川復元に向けた工事用道路整備を予定。標茶町コッタロ地区を走る道道阿寒標茶線を起点に施工対象区間までを整備する。工事用道路敷設区間には希少植物のエゾハリスゲが確認されていることから移植なども検討している。


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