19年度から札幌市内の工事が本格化 北海道新幹線整備

2019年01月23日 15時00分

 北海道新幹線整備は2019年度から札幌市内の工事が本格化する。札幌駅は、在来駅11番線の拡張に向け準備工に入る見通し。市内を縦断する札樽トンネルは、年度初めから手稲区で発進立て坑の掘削に向けた準備作業が始まる。トンネル掘削土の搬入先の確保が課題だが、札幌市が市内数カ所で適地選定を進め、新年度から地元説明など搬入先確保に努める方針だ。

 札幌市内の工事は、小樽市朝里と札幌都心をつなぐ札樽トンネル(26・2㌔)の一部と、トンネル出口から新駅の約1㌔、新駅から苗穂駅周辺までの約1・3㌔の明かり区間で構成する。

 1月には札幌工区(8・4㌔)の落札者が決まり、発注者の鉄道・運輸機構と受注者の大林組ら共同体が今後、施工計画をまとめる。

 春先から準備作業を始め、時期は未定だが最初に手稲区西宮の沢2条2丁目付近の発進立て坑掘削に着手する。

 並行して掘削に使うシールドマシン製作を進める。工場製作と現地組み立てには2年ほどかかるため、早ければ20年度に掘削が始まる予定だ。

 シールド工事は富丘工区側に掘削した後、市内側に向かい、中央区北8条西12丁目付近の到達立て坑までを掘削。到達立て坑からは開削工法を使い、石山通を越えた北6条西10丁目のJR高架南側がトンネル出口となる計画だ。

 出口からの明かり部は高架で在来駅東側に新設する新幹線ホームに接続する計画。国土交通省の19年度整備新幹線予算案では、この明かり部分の着工費を計上した。19年度は詳細設計を発注し、これを進めるのと並行して、高架が通過する市道管理者の札幌市と用地取得の協議を進める。

 駅部は同機構の委託でJR北海道が、新幹線ホーム設置の前提となる在来線11番線の拡張工事に着手する。ホームを支える基礎が札幌市の北口駅前広場や地下通路上に影響するため、19年度は支障物の移転など準備工に入る。柱や基礎の詳細設計がまとまり次第、札幌市などと対応を協議する。

 一方、NATM工法で掘削する山岳トンネルの星置工区(4・4㌔)、富丘工区(4・5㌔)も発注済みで、19年度以降は掘削が本格化してくるため、掘削土の受け入れ先拡大が必要になる。

 現在は、自然由来で重金属が基準値以下の無対策土は中央区盤渓の採石場に朝里トンネルの掘削土を搬入しているが、石狩市の民間企業で受け入れが決まり、1月から分散運搬を始めた。

 重金属が基準値以上の対策土の受け入れ先の確保も急務で、札幌市が18年度内に環境や地質など基礎調査を進め、数カ所の候補地を選定する見通し。19年度からは地域説明などを通じ、搬入先の確保を急ぐ構えだ。


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