シェアハウスや民泊の運用代行などを手掛けるMASSIVE SAPPOROは20日、札幌市中央区のSITYビル内に無人ホテル「UCHI Living Stay odori」を開業した。無人化により運営コストを抑えられる利点を生かし、今後も無人ホテルを積極展開する方針だ。
2018年6月に施行された改正旅館業法で、宿泊者の安全や利便性を確保するために①緊急時の対応②ビデオカメラなどで宿泊者の本人確認や出入りの確認③鍵の受け渡し―が適切にできる設備があれば、無人で営業することが可能になった。
同社が手掛ける無人ホテルは、これで2カ所目。18年夏にビルオーナーから相談を受け、フロントにスタッフがいる宿泊施設を200万円ほどかけて改修した。
南1条西8丁目でSITYビル2階の一角にあり、1室で約247m²の広さ。テレビや冷蔵庫、電子レンジ、シャワー室、男女別トイレ、ベッドなどを備え、火を使わない簡単な調理であれば室内でできる。大通公園に近く、アクセスが良い。
1人から最大で1団体14人が宿泊可能。予約はインターネットサイト(Airbnb)で受け付ける。利用者の9割は外国人旅行者と見込んでいる。
不動産事業部の川上将司さんは「アジアからの旅行客は、大人数で移動する場合が多い。一般的なホテルは1部屋に少人数しか泊まれない」と話す。大人数が一緒に宿泊できるという点で、他のホテルとの差別化を図る。
無人化に当たり、楽天コミュニケーションズのIoTサービスを導入した。チェックイン時に宿泊者は、玄関の扉を開けてすぐの所に設置しているタブレット端末に、事前に伝えられた予約番号と名前、住所、職業などを入力する。
外国人宿泊者の場合は、パスポートと顔写真をタブレット端末のカメラで撮影。全ての入力を終えてボタンを押すと、担当者とテレビ電話がつながる。オペレーターが入力内容を確認し、本人確認が済めば部屋の鍵番号が伝えられ、入室できるという仕組み。予約ごとに異なる鍵番号を伝えるため、セキュリティー対策は万全だ。
省人化により、一般的な有人型ホテルと比べて20%ほど運営費をカットできる。このため、宿泊料金は1人当たり2000―6000円前後に抑えられる。
懸念される問題の一つが騒音だ。対策としてテレビの裏にセンサーを設置。一定程度の騒音を検知すれば、管理者に連絡が入り、宿泊者に電話で注意する。緊急時には10分以内で駆け付ける体勢のため、万が一のときも安心だ。
さっぽろ雪まつりの期間は予約で埋まっている。川上さんは「アジアの中間層は、移動や宿泊にあまりお金をかけない。低価格で効率がいい宿泊形態は需要が見込める」と期待を込める。年内に札幌市や小樽市などで、無人ホテルを十数棟オープンさせる予定だ。